スタッフブログ

2014年9月25日 木曜日

「Rh陰性」と言われた場合はどうすればよいの?

Rh式血液型とは?
以前、赤血球上にたくさんの種類の糖鎖があることを説明しました。
(不規則抗体について;http://www.sanolc.com/blog/2014/08/post-44-961617.html

Rh式血液型とは、C,c,D,E,eの5つの糖鎖(抗原)について識別した血液型です。
この中で特に抗原性が高い、D抗原の有無でRhプラス(陽性)、Rhマイナス(陰性)と分けております。

つまりRh陰性とは、D抗原を持たない赤血球を有することを意味します。


Rh陰性の頻度は?
日本人では0.5%、アメリカ・ヨーロッパの白人では15%、アフリカ人では4-6%みられ、日本人では稀であります。


どのタイミングが危ないか?
Rh陰性の女性が、Rh陽性の赤ちゃんを妊娠した場合、Rh不適合妊娠となり注意が必要となります。

第一子の妊娠時、分娩時に赤ちゃんの血液がお母さんの血液に混じる可能性があります。
この時にRh陽性赤血球に対する抗体(抗D抗体)を産生します。16%くらいに生じるのではないかと言われています。






この時点では、赤ちゃんに影響はありません。

次の妊娠時に、この抗体が胎盤を通して移行し、赤ちゃんに影響を与えます。






赤ちゃんへの影響は?
胎児の赤血球が溶血すると、胎児貧血がおこり、胎児水腫(全身のむくみ)、心不全が生じる可能性があります。
また、出生後に新生児貧血や黄疸を生じることもあります

胎児水腫 25%
出生後の赤ちゃんの貧血や高ビリルビン血症(いわゆる黄疸) 25〜30%

不規則抗体についてのblogの中でも述べましたが、Rh不適合妊娠の場合は重症化しやすく治療が必要になる事が多くなります。


どのような対応をとるのですか?
最初の妊娠時に(もしくはRh陰性の女性が、抗D抗体を有さない場合)抗D抗体を、作らないように予防します。

①分娩後に抗D免疫グロブリンを母親に注射します。
分娩時の出血の際に、赤ちゃん-母親間で血液が交わる可能性があります。この時に抗D免疫グロブリンを母親に投与して、感作を防ぎます。

分娩後72時間以内の抗D免疫グロブリン投与によって、産後6ヶ月時の感作率は、risk ratio 0.04, 95% CI 0.02〜0.12)と低くなります。
また次回妊娠時の抗D抗体陽性率は、risk ratio 0.14, 95% CI 0.06〜0.38)と著明に低下します。

②妊娠28週頃に抗D免疫グロブリンを母親に注射します。
妊娠28週以降に体内での赤ちゃん-母親間で血液が交わる可能性が増えると言われており、このタイミングで抗D免疫グロブリンを投与することによりさらに、感作する機会を減らせると言われております。

いずれも保険適応の予防方法です。

また、理論上は妊娠8週以降に赤ちゃん-母親間で血液が交わる可能性があります。
日本の産科ガイドラインでは、妊娠7週以降まで児の生存が確認できた自然流産後、人工流産後、異所性妊娠(子宮外妊娠など)、腹部打撲後、羊水検査、外回転術後などにも抗D免疫グロブリンを投与することも勧められています。



副院長 今野 秀洋



(参考文献)
宮崎 亮一郎;Rh不適合妊娠の管理およびその治療. 日本産科婦人科學會雜誌  日本産科婦人科學會雜誌, 1999; 51(2) N-43 (http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5102-43.pdf)
2. 大戸斉;新生児溶血性疾患と母児免疫. 輸血学(改訂第3版);中外医学社 2004:512-521
3. American College of Obstetricians and Gynecologists: ACOG Practice Bulletin No.75: 
management of alloimunization.; Obstet Gynecol 2006;108: 457-464
4. Crowther CA, et al.; Anti-D adminition after childbirth for preventing Rhesus alloimunization.; Cochrane database syst Rev2000:(2)
5. American College of Obstetricians and Gynecologists: ACOG Practice Buletin No.4: prevention of Rh D alloimunization (May1999). ; Int J Gynaecol Obstet 1999;66:63-
6. Statement from the consensus conference on anti-D prophylaxis. 7 and 8 April1997.; The Royal College of Physicians of Edinburgh. ; The Royal College of Obstetricians and Gynaecologists, UK. Vox Sang1998:74:127-128                                                           7. Bowman JM. Chown, et al.; Rh isoimunization during pregnancy:antenatal prophylaxis. ;Can Med Assoc J ; 1978:118:623-627                                                                        8. Jabara S, et al.; Is Rh immune globulin neede in early first trimester abortion? ;A review.; Am J Obstet Gynecol ;2003:188:623-627                                                        9.日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編2014


投稿者 佐野産婦人科医院

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