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妊娠中の方に、インフルエンザワクチンを勧める理由

そろそろインフルエンザが流行する季節となってきました。 当院では、妊婦さんに10月よりインフルエンザワクチン接種を開始しております。 ではなぜ、妊娠中の方に、インフルエンザワクチンを勧めるのでしょうか? これにはいくつかの理由があります。(お母さんにとってのメリット) 過去の調査では、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化しやすいことがわかりました。 心肺機能が悪化し、入院する相対的リスクは、産後の方と比較して、多いと4.67倍高くなります。 表に示すように、出産に近づくにつれて相対的リスクは上がります。 これは、出産の準備として循環血液量が増加するため(妊娠末期で、妊娠していない時から約45%くらい増量します)、もともと心臓や肺に負担がかかった状態となり、それにインフルエンザ感染がさらなる負担になるかではないかと考えられます。 また、340人の妊婦を調査した別の調査では、インフルエンザワクチンを接種することにより、呼吸障害が36%も減少することがわかりました。(赤ちゃんにとってのメリット) 生後6ヶ月未満の赤ちゃんにはインフルエンザワクチンを接種することができません。赤ちゃんが感染することを防ぐには、まずお母さんがかからないようにすることが大事です(これは一緒に住む家族も同じだと思います。)。 また、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、お母さんの体に抗体が産生されますが、それが胎盤を通過して、胎児に移行することがわかっております。つまり、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、生まれた赤ちゃんはインフルエンザにかかりにくくなると言えます。生後6ヶ月までに63%の感染を減らせるとのデータがあります。 別の調査でも赤ちゃんの血液中には、おおよそ移行抗体は半年くらいは存在することがわかっています。 以上より、特にワクチンに対するアレルギーがない妊娠中の方にはインフルエンザワクチンの接種をお勧めします。日本だけではなく、アメリカのガイドラインでも推奨されています。(インフルエンザワクチンの接種の時期は?) インフルエンザワクチンによる、妊娠への影響はないと思われますので、妊娠している場合、すべての週数で接種ができます。 ワクチンの接種から抗体ができるまで約2週間くらいかかります。 約半年の効果期間はあるようなので、接種の時期はまさに「今」だと思います。 当院では妊婦さん向けに、防腐剤の入っていないワクチンを用意しております。 副院長 今野 秀洋(参考文献) Madhi SA, et al. ;Influenza vaccination of pregnant women and protection of their infants.;N Engl J Med. ;2014; 4;371(10):918-31. Zaman K,et al. ; Effectiveness of maternal influenza immunization in mothers and infants.;N Engl J Med. ;2008;9;359(15):1555-64. 3. Neuzil KM, et al.; Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in pregnant women. ;1998 Dec 1;148(11):1094-102. 4. 二井 立恵ら;妊婦におけるインフルエンザワクチンの免疫原性・安全性;小児科;     2012;53;4;497-503 5. 二井 立恵ら;ワクチン歴による妊婦のインフルエンザ赤血球凝集抑制抗体の保有状況と児へ の抗体移行に関する検討;小児科臨床;2010;63;11;2329-2336 6. 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編2014

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