スタッフブログ

2016年2月19日 金曜日

尿タンパクが陽性ですと言われました。

妊婦健診では、毎回尿検査があります。
調べている項目は、尿糖と尿タンパクです。
尿糖は、糖尿病の確認(妊娠に伴い、糖尿病になるケースがあります)というのはわかると思います。





では、尿タンパクとは何を見るための検査なのでしょうか?


腎臓には、血液中の老廃物をろ過する役割があります。
通常、タンパク質などの大きな物質はほとんどろ過されません。
しかし、腎障害が起こるとタンパク質がしみ出ることがあります。

つまり尿タンパクは、腎障害の指標になります。

妊娠中に起こりうる腎障害とは、妊娠高血圧腎症(昔でいう妊娠中毒症)のことを指します(正確に言うと、他の疾患もあります)。

つまり尿タンパク検査は、妊娠高血圧腎症かどうかを調べる検査となります。


ちなみに妊娠中毒症には、血圧が上がる(妊娠高血圧症候群)場合と高血圧+タンパク尿(妊娠高血圧腎症)場合があり、妊娠高血圧腎症の方が予後不良です。

タンパク尿が陽性と言われました。私は妊娠高血圧腎症ですか?
現在の妊娠高血圧腎症の定義では、高血圧が先行していることが必須となります。
つまり、タンパク尿が陽性のみでは、妊娠高血圧腎症ではありません。

また多くの病院では、dipstick test(簡易の尿テスト)で検査していると思います。


尿タンパクが30mg/dl以上の場合、dipstick testでは検出率はほぼ100%ですが、陽性的中率が50〜60%と高くはありません。
要するに偽陽性も少なくないのです。

それゆえ尿タンパク陽性のみでは、すごく心配する必要はないと思います。

しかしながら、尿タンパク(1+)が二回以上検出された場合、のちに妊娠高血圧腎症に移行する場合があります(感度33%)。
つまり、現行の基準では妊娠高血圧症候群とは診断されないが、のちに妊娠高血圧腎症に移行する可能性があります。

別の話ですが、
まず血圧上昇して、その後尿タンパク検出されるケースは、15.2%.
一方、まず尿タンパク検出のみであったが、その後血圧上昇するケースは51.4% でした。

つまり、尿タンパク検出先行型の方が、予後の良くない妊娠高血圧腎症に移行する可能性が高いようです。


まとめると
尿タンパク陽性と言われても、偽陽性の可能性もあり、すごく心配する必要はないが、のちに妊娠高血圧腎症に移行する場合もあるので、注意した方が良いと思います。


尿タンパクが指摘されていた方が、急にむくみが出てきて、体重が急に増えた場合は、気になる変化かもしれません。

院長 今野 秀洋

(参考文献)
1.平嶋周子ら;妊娠高血圧と妊娠高血圧腎症;産婦人科治療;102(5);846-850;2011
2.森川守ら;蛋白尿, 浮腫の評価のポイント;産科と婦人科;1(21);21-26;2015
3.Morikawa Met al.;Pregnancy outcome of women who developed proteinuria in the absence of hypertension after midgestation;J Ternat Med;36:419-424; 2008
4.日本妊娠高血圧学会編;妊娠高血圧症候群の診療指針2015
5. 日本産婦人科学会;産婦人科診療ガイドライン産科編2014


投稿者 佐野産婦人科医院

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