スタッフブログ

2016年5月12日 木曜日

高齢妊娠・高齢出産について考える

よく高齢妊娠・高齢出産という言葉を聞いたことがあると思います。

日本では、35歳以上の方の妊娠・出産を指すのではないかと思います。
外国では、35歳以上の初産婦、40歳以上の経産婦を指すこともあるようです。
        (個人的には、どちらかというとこちらの方が合っているような気がします。)

昭和60年の35歳以上の方の出産数は、101970人でこれは全体の7.1%にあたりましたが、平成26年には277399人で26.9%と増えています。





当院においてもここ最近の35歳以上の出産は、約3割です。

「私、42歳初産ですが、別に問題ないですよね。最近の医療も進歩しているから。」という方がいらっしゃいました。

また、40歳の方から「今まで二人生んでいるから、今回も大丈夫ですよね。」という声がありました。

一方、「高齢妊娠ですが、赤ちゃんに異常ありますか?」という質問もよくあります。

今回は、高齢妊娠・高齢出産についてお話ししようと思います。

高齢妊娠での問題は何ですか?
主に以下のリスクが増えると言われています。






35歳の初産ですが、問題ありますか?
35歳初産のグループ(1054人)と25歳〜29歳のグループ(890人)のグループで比較した海外の研究があります。

35歳初産のグループの方が、
子宮筋腫合併(http://www.sanolc.com/blog/2014/04/post-29-824083.html)が多く(OR 2.25 95%CI 1.52-3.33)、妊娠高血圧症候群の合併が多く(OR 1.27 95%CI 1.09-1.48)、
産後出血が多くなる(OR 2.52 95%CI 1.18-5.42)傾向がみられました。

また、帝王切開も半数近くになります(43.7% vs 27.5%)。

今回は43歳での妊娠ですが、問題ありますか?
海外の研究ですが、20歳〜29歳のグループと40歳〜44歳のグループ及び45歳以上のグループで比較検討を行っています。






20歳〜29歳のグループと比較すると、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群前置胎盤http://www.sanolc.com/blog/2014/06/post-39-914941.html)の発症リスクが、増加しています。

また、陣痛促進剤が必要となることや重度の会陰裂傷帝王切開も年齢を重ねることに増えます。
周産期死亡胎児・新生児死亡も同様に増えています。

別の研究によると、先天性の重度な奇形による胎児死亡は、母親の年齢とともに増加しますが、原因不明の胎児死亡も同様に母親の年齢とともに増えています。

また、40歳以上に限定したデータによると、
妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群・前置胎盤・器械分娩率・帝王切開率・陣痛促進率は、経産婦であっても増加する傾向があります。

染色体異常が心配です。
染色体異常の発生率は、母親が15歳以下の場合、1/1000ですが、35〜39歳の場合6.3/1000、40歳以上の場合23.7/1000です。
(確かに、母親の年齢が上がるにつれて増えています。しかしながら、この数字は高いとも取れますが、多くの人は、例えば40歳以上でも1000人中976人は正常であるわけですから、大丈夫という解釈もできると思います。)

流産・早産のリスクが増えますか?
年齢とともに流産のリスクは増えます。35歳未満と比べて、35-39歳で1.8倍、40歳以上だと2.8倍くらい増えます。

早産に関しては、増えるという報告と変わらないという報告があります。

子宮外妊娠が増えるって本当ですか?
外国のデータで、子宮外妊娠は15歳〜29歳で11.8人/1000妊娠とすると、35〜44歳のグループでは、41.0人/1000妊娠と3.5倍近く増えます。

日本のデータありますか?
242715人を集積したデータより、20歳以下、35〜39歳、40歳以上のグループを抽出して検討したところ、以下の結果が得られました。

妊娠高血圧症候群  (順番にRR 0.68、1.66、2.55)
37週前の破水       (RR 0.96、1、1.14)
前置胎盤              (RR 0.36、1.76、2.19)
常位胎盤早期剥離  (RR 0.67、19.9、4.1)

高齢妊娠だとリスクがいくらか上がります。


結論です。
現在、3人に一人が35歳以上での出産であり、高齢出産は決して珍しくありません。

だからと言って、高齢妊娠が危なくないということにもなりませんし、また、出産経験があるからといって今回も順調にいくとは必ずしも言えません。

一方、(誤解を招かぬようお伝えしたいと思いますが、)冷静にこれら結果を検討してみると、いずれのリスクも数倍上がるということであり、数十倍上がるというわけでもないので、とても危なすぎる出産とも言えないと思います。

大切なのは、いくらかのリスクはあるんだと自覚して、慎重に、大事に大事に妊娠期間を過ごすように気をつけていくことではないかなと思います。

院長 今野 秀洋




(参考文献)
1. Jacobsson B, et al:Advanced maternal age and adverse perinatal outcome.
:Obstet Gynecol:104(4):727-33:2004
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4. Prysak M, et al.:Pregnancy outcome in nulliparous women 35 years and older.
Obstet Gynecol.:85(1):65-70:1995
5. Cleary-Goldman J, et al.:Impact of maternal age on obstetric outcome.
:Obstet Gynecol.:105(5 Pt 1):983-90:2005
6. Hollier LM,et al.:Maternal age and malformations in singleton births.
:Obstet Gynecol:96(5 Pt 1):701-6:.2000
7. Storeide O, et al.:The incidence of ectopic pregnancy in Hordaland County, Norway 1976-1993:Acta Obstet Gynecol Scand:76(4):345-9:1997
8. Matsuda Y,et al.:Impact of maternal age on the incidence of obstetrical complications in Japan:J Obstet Gynaecol Res:37(10):1409-14:2011
9. Eriksen HL,et al.:Predictors of intelligence at the age of 5: family, pregnancy and birth characteristics, postnatal influences, and postnatal growth:PLoS One:13;8(11):e79200:2013
10. 青木 弘子ら:高齢出産と早産:産婦人科治療:103(4):355-361:2011


投稿者 佐野産婦人科医院

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