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2017年6月13日 火曜日

月経前症候群(PMS)をご存知ですか?

月経の際、お腹や腰に強い痛みを伴い、仕事や学校などの生活に支障をきたすことがある方がいらっしゃることはよく知られていると思います。これを月経困難症と言います。

月経中ではなく、その前の排卵後黄体期に心身の違和感がある方がいます。
不思議なことに、月経が始まると、色々は心身の変調が良くなってきます。
こういったものを月経前症候群(PMS)といいます。

                                 

PMSってどういう症状があるの?
日本産婦人科学会用語集・用語解説集によると、PMSとは、「月経前、3〜10日の黄体期の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消滅するものをいう。いらいら、のぼせ、下腹部膨満感、下腹部痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着かない、憂うつの順に多い」と定義されています。

また、米国産婦人科学会のガイドラインでは、具体的に身体症状と精神症状を分けて、図のように診断基準が記載されております。






さらに、PMSの重症型で精神症状の強いものは、月経前不快気分障害(PMDD)とされて分けられています。

PMSは、どれくらいの頻度ですか?
そもそも、PMSの概念を知らず、「そう言えば、なんか月経前はいつも調子が悪かったなあ。」という方が多いのではないかと思います。

20歳から49歳を対象にした日本の研究によると、中等度から重症のPMSは約5%ぐらいと言われているが、これは軽症な方を含めればもっと多いと思われ、実際のところ外国のデータでは2人に1人はPMSと言われています。

またPMDDは1.2%の方にあります。これも実際は、もっと多いかもしれません。

その内訳です。

どうでしょうか? ひょっとして当てはまりますでしょうか?

同様に仙台の高校生618名を対象に調べた研究があります。
高校生の中等度から重症のPMSの頻度は、11.8%です。若い方の方が、多いようです。
おそらくこれを理由に学校を休む方も少なくないであろうと思われます。

治療はありますか?
原因はよくわかっていないのですが、幾つかの治療が効果があるだろうと言われています。
まずは、規則正しい生活、規則正しい睡眠、定期的な運動、アルコールやカフェインなどをとりすぎないようにすることが大切です。

(1)サプリメントなど
①カルシウム
PMSの方が1日 1000〜1200mgのカルシウムを3ヶ月継続内服したところ、否定的な感情やむくみなどが軽減されたという報告があります。

②エクオール
以前、blogでお話ししたエクオール(http://www.sanolc.com/blog/2015/08/post-66-1194698.html)がPMSにも効果があるかもしれませんという研究があります。
39名を対象にした研究ですが、エクオール産生者とエクオール非産生者とで比較すると、エクオール産生者の方が、月経前の精神状態が日常に影響を与えることが少ないようです(18% vs 45%)。
つまり、エクオールを摂取するとPMSが良くなる可能性があります。40代ぐらいのPMSの方で、「お薬はちょっと・・。」、と言う方に薦められるのではないかと思います。

(2)ハーブなど
①漢方薬
漢方薬を用いたところ、効果があったという報告が幾つかあります。
漢方薬を12週間内服したところ、奏効率66.7%だったようです。
第一選択は、「加味逍遙散」です。
内服3ヶ月くらいで、調子が良くなり、内服不要となった例もあるようです。
身体症状が比較的軽く、精神症状が強い場合は別の処方をするケースもあります。

②チェストベリー(プレフェミン)
漢方薬に似たようなものとして、西洋ハーブがあります。
西洋ハーブの一つのチェストツリーの実であるチェストベリーがPMSに効果があります。
最近、お薦めしている一つでもあります。
漢方薬と同じように1周期目より効果がありますが、3ヶ月くらいは内服した方が良いようです。
日本では、ゼリア新薬からプレフェミン(http://prefemin.jp/)として販売されております。

(3)低用量ピル
幾つか研究がありますが、低用量ピルの一つのヤーズを3周期ないしは6周期内服するとPMSが改善したという報告があります。
月経困難症もある方はこちらが良いかもしれません。
最近、このヤーズの仲間として、3〜4ヶ月連続投与できる(つまり月経が年に4ないし3回しかこないようにできる)ヤーズフレックスという新薬が処方できるようになったので、PMSのつらさも軽減し、さらに年間回数も減らすことができるかもしれません。

(4)選択的セロトニン再取り込み(SSRI)
外来にいらした方ですが、「月経前になるととてもイライラして、夫を殴ってしまいます」という方がおりました。
こういうような精神症状が強い方は、いわゆる抗うつ薬の方が効果的ではないかと思われます。PMSやPMDDである2964人で調べた、抗うつ薬の一つのSSRIが効果的であったという研究があります。

(まとめ)
あまり周知されていないかもしれませんが、意外とPMSやPMDDで悩んでいる方は多いと思われます。
まだまだPMSについてわかっていないことも多いのですが、幾つかの治療方法があります。
PMSで日常生活にお困りの方は、あきらめずに、まずは外来受診し相談されるのが良いのではないかと思います。


院長 今野 秀洋

(参考文献)
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http://www.acog.org/-/media/For-Patients/faq057.pdf?dmc=1&ts=20170531T0219448120
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17. 月経前を考える;最新女性医療;3;2;2016
18. 月経前症候群・月経前不快気分障害の最新知見;産と婦;83;12;2016
19. 日本産婦人科学会;産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2017.


投稿者 佐野産婦人科医院

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