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2017.10.24更新

以前のブログで妊娠高血圧症候群(HDP)が、将来生活習慣病になる可能性が高いので気をつけてましょうという話をしました。

今回は妊娠糖尿病(GDM)のお話です。

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常のことです。(妊娠前から糖尿病と診断されている場合は妊娠糖尿病には含めません。)

日本産婦人科学会のホームページによると、頻度は7〜9%ぐらい(当院で出産した方のデータでは1%くらい、これはおそらくハイリスク妊娠の方は、高次施設に紹介させていただいているのではないかと思います。)

お母さんが高血糖であると、おなかの中の赤ちゃんも高血糖になり、さまざまな合併症が起こります。

GDM合併症

赤ちゃんが大きくなりすぎた場合や、お母さんの合併症が重度な場合は、お母さんや赤ちゃんを守るために、帝王切開が選択されることもあります(GDMの方は19.3〜30.9%と帝王切開率が高いです)。

 

実はGDMは妊娠高血圧症候群と同じく、妊娠・出産時だけでなく、出産後にも注意が必要です。

幾つかの調査報告があります。

(1) GDMと診断された方が将来糖尿病になる危険率は、GDMではなかった方の約7倍だった。

675455人の女性を調べた英国の報告によると、

2型糖尿病の発症数/GDM発症数       3997人/31867人
2型糖尿病の発症数/GDM発症しなかった数 6862人/643588人

GDMと診断された方が将来2型糖尿病を発症した割合とGDMでなかった方が2型糖尿病を発症した割合を比較したところ、GDMの方が7.4倍糖尿病を発症することがわかりました。

(2) GDMと診断された方が、分娩後5年の時点で糖尿病に進展しているケースが20%だった。

日本の1041名を調べたデータ解析によるとGDMと診断された方が、分娩後5年の時点で、糖尿病に進展しているケースは20%でした(GDMでなかった方が、糖尿病に進展したのは1%)。
GDMから糖尿病に進展するリスク因子は、

①妊娠前BMI≧25kg/㎡
②GDM診断時のHbA1c(過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映するものです)≧5.6%
③分娩時年齢35歳未満

などです。

(3) 産後3年から15年経過した方を調査したところ、GDMと診断した方の47%が糖尿病もしくは糖代謝異常と診断されていた。

こちらも日本のデータで、GDMと診断された202人を調査したところ、 産後3年から15年経過した時点で、47%が糖尿病もしくは糖代謝異常と診断されていました(GDMでなかった60人のうち糖代謝異常となっていた方は0人)。

(4)胎児期の子宮内環境が子供に影響を与える可能性がある。

GDMから生まれた児の方が、9歳で肥満度も腹囲も大きい傾向があったという報告があります。


まとめると
GDM既往の方は、将来糖尿病発症予備軍であります。また、お母さんだけの問題ではなく、お子さんにも影響が出るかもしれません。

GDMと診断された方は、妊娠中だけでなく産後の生活も気をつけるようにしてください。

院長 今野 秀洋

(参考文献)
1.荒田 尚子ら;糖尿病女性とウィメンズヘルスケア 妊娠を起点とした将来の女性および次世代の糖尿病発症予防のために;糖尿病と妊娠 ;15;1;56-64;2015
2. 荒田 尚子;妊娠を起点とした将来の女性及び次世代の糖尿病・メタボリック症候群発症予防のための研究;平成26年度厚生労働科学研究費補助金
3. 和栗雅子:新診断基準によって診断された妊娠糖尿病合併女性の糖代謝 予後に関する研究:平成26年度厚生労働科学研究費補助金
4. Bellamy L,et al. ;Type 2 diabetes mellitus after gestational diabetes: a systematic review and meta-analysis.;Lancet;23;3731773-9 ;2009
5. 難波光義ら;「妊娠と糖尿病」母児管理のエッセンス;金芳堂
6. 日本産婦人科学会ホームページ:http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/ninshintonyobyo.html

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

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