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2018.02.17更新

通常は、児が出生した後に胎盤が娩出されます。

しかし、分娩前に胎盤が一部もしくは全体的に胎盤が付着部から剥離が生じることがあります。
これを「常位胎盤早期剥離」と言います。

 

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 もし赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれるとどうなるかというと

①剥離面に出血します。出血で生じた血腫がさらに胎盤を剥がします。すると大量出血となり出血性ショックが起こり、続いて血液を凝固させる因子が消費されて、さらに出血が止まらなくなるという悪循環に陥ります。その結果、母体死亡につながることもあります。

②胎盤が子宮から剥がれると、胎盤・臍帯から胎児への酸素の供給が止まってしまうわけですから、重大な低酸素症を引き起こし、胎児(もしくは新生児)死亡に至ってしまうこともあります。

つまり常位胎盤早期剥離が生じた場合は、母子ともに命に関わる状況に陥る可能性があります。

その頻度は0.5%(200分娩に1件)です。

危険因子は?

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母体年齢により、常位胎盤早期剥離の発生率は上昇します。40歳以上の高齢妊婦さんは、35歳以下の妊婦さんと比較して常位胎盤早期剥離の発生率は2.3倍高いようです。

 

常位胎盤早期剥離の既往がある妊婦さんの、特に胎児死亡を経験している場合、再発率は非常に高いです。

愛知県にある半田市民病院の報告によると、再発率は22%であり、半分の方は初回の常位胎盤早期剥離より1〜3週間早い週数で再発を認めていました。


また2度の重症常位胎盤早期剥離の既往のある方は、3度目の再発リスクは50倍という報告もあります。


③その他、子宮筋腫が胎盤付着部の後方の子宮内膜表面の近くに位置する場合は、胎盤早期剥離を起こしやすいようです。

 


しかしながら常位胎盤早期剥離は突然生じるため、分娩前からいくら注意をしていても予測はできません。

 

胎盤早期剥離した場合、どのような症状がみられますか?

広島市民病院での43例をまとめた報告によると、
出血が15例、腹痛が15例、子宮収縮感が4例、胎動減少が4例でした。
(必ずしも外出血するわけでもありません。)

 

どのような結末になりますか?

常位胎盤早期剥離と判断した場合は、可能な限り急いで分娩とします。

 

同報告によると、

経産婦が25例(58.1%)とやや多く、発症週数は中央値34週(20週〜40週)でした。
母体死亡例はなかったのですが、輸血を要した例が15例、子宮全摘術を要した方が1例でした。

児においては、死亡例が11例(25.6%)、そのうち乳児死亡が1例、子宮内胎児死亡が10例でした。生存した中でも、脳性麻痺が2例、発育発達の遅れが6例にみられました。

 

 


成育医療研究センターが作成した、常位胎盤早期剥離のパンフレットもありますのでご覧になってみてください。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/bunben/img/guide_15.pdf

 

最後に

常位胎盤早期剥離は突然生じるため、分娩前からいくら注意をしていても予測はできませんが、胎盤剥離してから、時間が経てば経つほど状況は悪くなりますので、いつもと違うなと思った場合は、早めに病院に連絡するようにしてください。

院長 今野 秀洋

 

(参考文献)
1. 関野 和ら;当院における常位胎盤早期剥離43例の検討;現代産婦人科;64;2;453-459;2016
2. 松川 哲ら;当院における常位胎盤早期剥離55症例の検討 内出血型は外出血型よりhigh riskか;周産期医学 ;46;1;117-120;2016
3. 中田 雅彦ら;【母体救命-産科医とともに】 産科救急疾患 常位胎盤早期剥離; 救急医学;40;9;1037-1043;2016
4. 小塚 良哲ら;当院での子宮内胎児死亡を伴う常位胎盤早期剥離症例の取り扱い;現代産婦人科 ;64;2;165-169;2016
5. 近藤 英治ら;【ここが知りたい 産婦人科周術期管理】 周産期領域 常位胎盤早期剥離; 産科と婦人科;84;2;127-134;2017
6. Furuhashi M, et al. ;Pregnancy following placental abruption.
;Arch Gynecol Obstet;267(1);11-13;2002
7. Willams Obstetrics, 24th ed

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

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