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2022.04.01更新

妊婦健診の超音波検査では、赤ちゃんだけでなく、胎盤、臍帯、羊水についても観察しています。

その際、胎盤にくっきりと白く見える部分(石灰化)がみられことがあります。


胎盤石灰化

 

胎盤の石灰化の頻度は、報告によると3.8%〜23.7%と言われてます。

妊娠37週以降は39.4%という報告もあり、妊娠後期では少なくないです。
妊娠経過とともに現れてくる胎盤の変化ではないかと言われています。

 

 


一方、妊娠中期から胎盤の石灰化が顕著にみられるケースがあります。
調べてみると胎盤の石灰化と臨床経過をまとめた報告がいくつかありました。

 

 


(1) 喫煙と関係がありそう
妊娠26週から36週の期間、293人の妊婦さんを調べた研究があります。

そのうち69人(23.5%)の胎盤において超音波検査上、Grade III(0〜IIIまであり、IIIが高度)の胎盤の石灰化像を認めました。

胎盤の石灰化像ありの方と胎盤の石灰化像なしの方で比較調査すると、胎盤の石灰化像ありの妊婦さんのほうが、夫の喫煙の頻度が多い傾向がありました(p=0.005)。

 

 

 

また、臨床経過で比較してみると

①分娩週数が早くなる(36.2±2.5週 vs 37.1±2.52週 p=0.009)
②出生体重が小さくなる(2623.5±717.8g vs 2935.0±623.8g p=0.001)
③低出生体重児となる(34.8% vs 23.3% p=0.05)

という傾向がありました。

 

 

(2) 比較的早い週数の胎盤の石灰化は、臨床経過に注意が必要かもしれない
喫煙者やアルコール摂取した方を除き、高血圧や糖尿病や重度の貧血である方を除いた、妊娠経過中に問題のなかった776人を調べた研究があります。

 

Group1:妊娠28〜32週に、Grade IIIの胎盤の石灰化像を認めた。
Group2:妊娠32〜36週に、Grade IIIの胎盤の石灰化像を認めた。
Group3:妊娠36週までに、Grade IIIの胎盤の石灰化像を認めなかった。

上記の3つのグループにわけて比較検討しています。

 

calc1

  

 

胎盤の石灰化像がある方が、母子の分娩時や分娩後の問題を生じやすい傾向がわかりました。
妊娠中期から胎盤の石灰化像を認める方が問題を生じやすい傾向があります。

 

 

 

 

 

さらに、妊娠36週までにGrade IIIの胎盤の石灰化像を認めなかった群と比較して、妊娠中期に胎盤の石灰化像を認めると、母子の分娩時や分娩後の問題を生じやすい傾向がわかりました。
また、妊娠32週以降に胎盤の石灰化像を認めた群と妊娠36週までに石灰化像を認めなかった群はそれほど変わりはないようにもみえます。

 

calc2

 

 

 

 

 

 

 


まとめると
妊娠37週以降に重度の胎盤化石灰化を観察できても、特に問題にする必要はないと思います。
しかしながら、より早い時期に重度の胎盤化石灰化を認めた場合は、一つの警告徴候と受け取ったほうがよいかもしれません。


院長 今野 秀洋

 

 

 

(参考文献)
1. Chen KH,et al. : Exploring the relationship between preterm placental calcification and adverse maternal and fetal outcome: Ultrasound Obstet Gynecol: 37(3):328-34: 2011
2. Chen KH,et al. :The role of preterm placental calcification in high-risk pregnancy as a predictor of poor uteroplacental blood flow and adverse pregnancy outcome.: Ultrasound Med Biol: 38(6):1011-8: 2012
3. Ashraf Jamal, et al.: Is preterm placental calcification related to adverse maternal and foetal outcome?: J Obstet Gynaecol: 37(5):605-609: 2017
4. 竹内 久彌:胎盤老化の超音波画像診断:臨婦産:47(11):1276−1277:1993

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

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