妊娠を希望されている方や現在妊娠中の方から
「持病でお薬を内服しているが、妊娠しても大丈夫でしょうか?」
「妊娠に気づかずにお薬を飲んでしまいました!」
「妊娠中ですが、お薬飲めますか?」 といったご質問をよくお聞きします。
確かに妊娠中のお薬の服用は慎重になりますが、明らかに危険性が認められているのはごく一部のお薬であり、多くのお薬はあまり心配しなくても大丈夫だと思います。
お薬の胎児への悪い影響は二つあります。
奇形を作る「催奇形性」と
発育や臓器機能を悪くする「胎児毒性」です。
これらの影響はお薬を使用した時期によります。
妊娠時期 考えられる薬の影響
妊娠週数の数え方はこちらからhttp://www.sanolc.com/blog/2013/11/post-13-691990.html
催奇形性について
そもそもお薬に関係なく、様々な奇形が自然に発生します。先天性奇形の発生頻度は大小あわせて、おおよそ100人中2人くらいです。
このうちお薬が原因となるのは、1%ぐらいと言われています。
ホルモン剤、抗てんかん薬、抗がん剤、抗血液凝固薬、放射性薬品などで危険性が言われていますが、それほど一般的なお薬ではないと思います。
胎児毒性について
多くの薬は胎盤を通って、胎児に移行します。胎児は小さく、抵抗力が弱いので、薬の影響が強く出てしまうことがあります。
例えば、お母さんが妊娠中に飲酒や喫煙をすると胎児の発育も遅れがちで、子供の知能が低くなることがあります。
また、鎮痛剤の大量投与が胎児の心臓の血管を収縮させ、肺高血圧症の原因となったり、腎臓の機能を悪くして、尿量減少し、羊水過少を引き起こす(羊水は胎児の尿からできています!)可能性があります。
母乳からの影響もあります。
母乳を通じてお薬も移行しますので、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。
新生児もしばらくの間は薬を代謝する能力が不十分です。妊娠を機に中止していた精神薬や飲酒、喫煙をすぐに元に戻さない方が良いと思います。
しかしながら、薬の影響を心配しすぎるあまりに、本来必要な薬を摂取せずにいるのは危険です。
例えば、喘息や高血圧の薬などは欠かせないものなので、しっかり飲んで下さい。
ご不明な点がございましたら、外来にてご質問して下さい。
また、このような厚生労働省の事業もあります。
妊娠と薬情報センターhttp://www.ncchd.go.jp/kusuri/
是非、活用して頂けたらと思います。
副院長 今野秀洋
2013.11.28更新
妊娠と薬について
投稿者:
2013.11.26更新
妊娠週数の数え方
診療時に妊娠週数をお伝えしますが、その際に驚かれることがあります。
思っていたより進んでいたんだ・。との声が多いです。
これには理由があります。
妊娠週数は月経週期が28日型の方を基準として計算しております。
最終月経の開始日を0週0日と、次の日を0週1日として、、、数えていきます。
そうすると、2週0日が排卵・受精の日となります。(ここがポイントです。)
40週0日(最終月経から280日目となります)を分娩予定日としております。
また、月経周期が不順の方は、ずれが生じることが多いので、超音波検査で胎児の大きさを測定し修正しています。
通常は複数回確認して、妊娠週数、分娩予定日を決めています。
副院長 今野 秀洋
投稿者:
2013.11.19更新
超低用量ピル
今回、超低用量ピル、「ルナベルULD」が発売されました。
以前より発売されていた低用量ピル、「ルナベル」のエストロゲン量を少なく、約半量としたものとなります。
これにより、ピルの最大の合併症である、血栓症を少なくさせ、また気持ち悪くなるのも少なくなることが期待されます。
適応となるのは、月経困難症です。避妊薬としてではありません。
新薬ですので、来年2014年9月末までは1ヶ月分までしか処方は出来ません。
しかしながら、新たなピルが発売されることで、今まで副作用が理由で続けられなかった方がこちらなら続けられそうといったことがあるのではと思います。
超低用量ピル、「ルナベルULD」は当院でも処方できます。
外来にてご相談してください。
投稿者:
2013.11.16更新
妊娠と喫煙について
現在、日本では女性全体での喫煙率が9.7%、特に30歳代では16.6%のようです。
喫煙によって、男女ともに癌(肺がん、喉頭がん、食道がん、女性特有の子宮頸がんなど)や、動脈硬化による脳梗塞、狭心症などの発生頻度を増加させます。
もちろん喫煙は妊娠、出産、赤ちゃんへも悪影響を与えます。
妊娠への影響は?
不妊率を増加させ(オッズ比 1.6)、また自然流産は非喫煙者の約2倍になると言われています。
無事妊娠が成立しても、切迫早産(相対的危険度 1.38)、前置胎盤(2~3倍)、常位胎盤早期剥離(相対的危険度 1.37)などの頻度が増加します。
それぞれも疾患については、私の尊敬している先輩方が作成した国立成育医療研究センターのわかりやすい資料(漫画です)を参照して下さい。
前置胎盤http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/perinatal/images/zenchi.pdf
常位胎盤早期剥離http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/perinatal/images/sokihakuri.pdf
胎内の赤ちゃんへの影響は?
染色体異常(喫煙 12% vs 非喫煙 3.5%)、口唇裂及び口蓋裂(それぞれオッズ比 1.34, 1.22)などの頻度を増加させます。
また、赤ちゃんの体重増加を抑制させ、300gくらい小さく生まれるようであり、これは喫煙本数に依存します。
さらに、28週の以降の死産も増える(相対的危険度 1.2-1.4)とも言われています。
お産後の影響は?
母乳の分泌が減ると言われています。
生まれた赤ちゃんへの影響は?
新生児死亡(相対的危険度 1.2-1.4)、乳児突然死症候群(相対的危険度 2.0-7.2)が増加します。
さらに大きくなってからのアトピーや小児喘息や肥満などだけではなく、注意力欠如や読み書き能力の低下にも関連するとも言われています。
母親だけの問題ですか?
もちろん、周りの人からの受動喫煙も影響します。
子宮内胎児死亡(相対的危険度 1.5)が増加します。
このように妊娠中の喫煙は良いことがありません。
妊娠を考えたら節煙、そして喫煙をしましょう。
今からでも遅くはありません。
周りの人の協力も必要です。
副院長 今野 秀洋
投稿者:
2013.11.14更新
突然産気づいた際の準備として
突然の陣痛・破水に際に付き添ってくれる家族がいない場合もあるかもしれません。
都内では、陣痛タクシーというものがあって、入院までのサポートをしてくれるサービスがあるようです。
この界隈では聞いたことがありませんが、陣痛・破水時にシートが汚れるので、乗車を断れることもあるようです。
調べてみましたが、残念ながら浦安付近には、陣痛タクシーというようなサービスはないようです。
しかし、問い合わせたところ、ヒノデ第一交通では、良心的に対応して頂けそうです。
ヒノデ第一交通 配車センター 047-328-4530
受付に電話番号の記載したカードを置いておきますので、お持ちになってもよいかなと思います。
副院長 今野 秀洋
投稿者:
2013.11.09更新
つわりの対処法
今回はつわり(悪阻)についてお話しします。
つわりとは妊娠初期に起こる、気持ち悪さや嘔吐することです。
早い人では妊娠5週頃より始まり、9週ぐらいに最も強くなり、12週~16週頃には自然によくなってきます。
症状には個人差がありますが、中にはほとんど食事が取れずに入院をする人もいます。
対処方法ですが、まずは予防だと思います。
特に前回妊娠時つわりがつらかった人は、妊娠直前から準備しておくとよいと思います。
妊娠前からのビタミンA,B1,B6,B12,C,D,E,Fや葉酸を含んだマルチビタミンの摂取が、つわりの予防をできるとの複数の医学的報告があります。
どの成分が特に有効であるかははっきりしていませんが、ビタミンB6はつわりがおこってしまった方にも有効と言われています。
また、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害の発生頻度も減らす効果もあります。
いわゆる妊婦さん用のマルチビタミンはドラッグストアや赤ちゃん用品店で各種販売しておりますので、試してみては如何でしょうか。
次に症状が出てしまった人に対してです。
(1) トリガーとなるものから避ける
人によって異なりますが、におい、特に刺激臭(例えばたばこの煙とかカレーなど)がトリガーとなることが多いので、においが気になるものから避けて下さい。
また急に動くこともトリガーになることがありますので、ゆっくりと動く様にしましょう。
(2) 複数回に分けた食事、水分補給を
たくさん食べると嘔吐することもあるので、6回や8回などに分けて食べて下さい。
また、例えば朝は大丈夫だが夕方はつらくなるなどという症状の日内変動もあるので、調子が比較的よい時に食べるのもよいかもしれません。
また水分やミネラルの補給が大事なので、お口に合うのであれば、スポーツドリンクを取るのがよいと思います。
(3) ショウガをとる
ショウガの粉末が、つわりに有効であるという海外の報告があります。
日本では粉末を入手することは難しいので、ショウガを使った料理を食べたり、ショウガをすったものを料理に使ってもよいかもしれません。
これでもだめならば、病院で相談して下さい。
漢方薬を処方したり、脱水症状がある場合は点滴をしたりします。
つわりは本当に大変だと思いますが、つわりがあるということは、普通は妊娠がうまくいっていると考えられると思います。
時間経過とともによくなってきますので、みんなで協力してつわりを乗り越えていきましょう。
副院長 今野 秀洋
投稿者:
2013.11.06更新
千葉県医師会より学術奨励賞を頂きました。
先日、千葉県医師会より学術奨励賞を頂きました。
内容は妊婦の旅行についてです。http://www.sanolc.com/blog/2013/09/post-3-633787.html
順天堂大学浦安病院での研究を評価して頂きました。
有り難いことです。
副院長 今野 秀洋
投稿者:
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