スタッフブログ

2013.12.29更新

妊娠中は比較的、歯周病やう歯になりやすいです。
妊娠性歯肉炎の有病率は報告によってまちまちですが、35〜100%と言われています。

この理由は、妊娠に伴い亢進した女性ホルモンが、口腔内の細菌叢及び免疫能の影響を与えるからと言われています。
また、つわりのときは嘔気が強く、十分に口腔内の清掃ができないこともリスクを高めます。

歯周病やう歯は、単に腫れたり、痛いだけではなく、妊娠にも影響を与える可能性もあると言われています。

①早産
口腔内の6割以上の歯周組織破壊がある人の早産・低体重出産の危険性はオッズ比7.5倍との報告があります。
これは、歯周組織で産生された炎症物質が血流を介して子宮や胎盤に影響したり、あるいは歯周病原細菌が血液を介して子宮や胎盤に感染するかのではないかと考えられています。

②妊娠高血圧症候群
ひどい歯周病があると妊娠高血圧腎症の発症は、オッズ比2.4倍との報告があります。
これも歯周組織で産生された炎症物質が影響しているのではないかと考えられています。

以上の理由により、僕は妊娠中のう歯の治療を勧めます。


では、妊娠中のう歯治療は問題ないのか?

皆様が心配する点は、検査で行うレントゲン(放射線)と治療で使用する薬の影響だと思います。
確かに妊娠15週頃まで(特に妊娠12週頃まで)の期間は、胎児の薬や放射線に対する感受性が高いので注意が必要です。
http://www.sanolc.com/blog/2013/11/post-14-695687.html

(1)放射線について
現在歯科で行われてるレントゲン撮影方法である、口内法でもパノラマ法でも被曝線量は約0.02mSvです。
胎児に放射線障害を引き起こす線量は100mSvと言われており、うっかり妊娠とは知らずに受けてしまっても、あまり心配はいらないと思われます。
(ちなみに一番線量が多い骨盤CTでも25mSvです。)

(2)薬について
歯科で使用される薬で気になるのは、主に局所麻酔薬と抗生剤と鎮痛剤だと思います。

①局所麻酔薬
これにはリドカインとエピネフリンという二つの成分が入っています。
リドカインについては、今のところ胎児に対する悪影響の報告はありません(妊娠初期においてもです。)
エピネフリンは血管収縮作用があり、大量投与されれば、胎盤への血流が減少する可能性はあります。しかしながら、歯科で使用する量は80000分の1という低濃度であり、あまり心配はいらないと考えられています。


②抗生剤
胎児に対して100%安全であると記載された抗生剤は一つもありません。
そこで、臨床である程度長い期間使用経験があり、胎盤からの移行性の少ない、つまり危険性が少ないもの(セフェム系やマクロライド系)を使用します。

③鎮痛剤
鎮痛剤の中には、胎児に悪影響を与えるものもあります。これもまた危険性の少ないもの選択して使用します。アセトアミノフェンが比較的安全とされています。

というわけで、少なくとも妊娠15週以降であれば、あまり心配はなく治療が受けられると思います。
逆に、妊娠後期になってくると、仰向けの体位で血圧が低下することがあるので、治療を受ける際の体勢に注意が必要となるかもしれません。
そうすると歯科治療は妊娠中期がよいと思われます。

また、自治体では妊婦歯科健康診査を勧めています。
(浦安市)
http://www.city.urayasu.chiba.jp/dd.aspx?menuid=2365
(市川市)
http://www.city.ichikawa.lg.jp/pub03/1111000035.html

安心した妊娠経過のためにも、是非歯科検診と治療を受けて下さい。
必要に応じて、治療の際は近隣歯科医との連携も取ります。

副院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

2013.12.21更新

今回は淋菌感染についてお話しします。

淋菌(Neisseria gonorrheae)による性感染症です。

好発年齢は?
女性では、20歳代前半にピークを認めます。



男性が感染した場合は?
①尿道炎
排尿時の痛みや黄白色、多量の膿性の分泌物がでます。

ちなみに、「淋菌」とは「淋しい(さみしい)」からではなく、分泌物が「淋る(したたる)」様を表しているようです。
また、この症状の様子を紀元前400年に記載された記録があり、かなり昔から淋菌に人間は悩まされていたようです。


②精巣上体炎
尿道炎を放置しておくと、上行し、精巣上体炎を起こします。
陰嚢内容は腫大し、歩く事が難しくなるほど痛くなります。
男性不妊の原因となることもあります。


感染経路に関して、以下のようなデータがあります。




女性が感染した場合は?

①子宮頚管炎
典型的な症状は、おりものが多くなったり、不正出血などです。
しかしながら、多くは自覚症状がありません。


②子宮付属器炎(卵管炎、卵巣炎)
クラミジア感染と同様で、子宮頚管炎が上行すると生じます。
さらに進むと、頻度は少ないものの骨盤腹膜炎を発症することがあり、症状はクラミジア感染より激しいです。
女性不妊の原因となることもあります。

また産道感染もあります(新生児結膜炎)。

③咽頭感染
クラミジアと同様で、最近増えています。
クラミジア感染症については(http://www.sanolc.com/blog/2013/12/post-15-705495.html
淋菌感染者の10〜30%に検出されます。

検査方法は?
子宮頸管の擦過検体から調べます。
当院では、感度が高い核酸増幅法(SDA法)を用いた検査を行っております。


治療は?
抗生剤です。
最近は耐性菌が増えてきており、比較的強い抗生剤の点滴での治療が日本性感染症学会ガイドラインで推奨されています。


若い女性に多いこと、症状がないことが多いこと、男女の不妊の原因になることがあることが問題だと思います。
淋菌はクラミジアとの混合感染もあり、一緒に検査するのをお勧めします。

ご心配の方は、外来受診をなさって下さい。

副院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

2013.12.10更新

クラミジア感染は、わが国では最も多い性感染症(STI)です。
若年層に多く、正常妊婦の3〜5%(特に16〜19歳では約20%)にみられます。
また、29歳以下では感染者数において女性が男性を上回っています。


女性が感染した場合は

感染後1〜3週間で、子宮頚管炎を発症します。その後上行感染すると、卵管炎腹膜炎を起こすことがあります。


この状況を放置すると、子宮外妊娠不妊の原因となります。妊娠しても流産早産の原因になることもあります。また母子感染(新生児結膜炎、新生児肺炎)を起こすことがあります。

症状としては、おりものが多くなったり、不正出血、性交痛、下腹部痛などがあります。
しかしながら、女性の感染の半数以上が、自覚症状がありません。

検査方法
子宮頸管の擦過検体から調べます。
当院では、感度が高い核酸増幅法(SDA法)を用いた検査を行っております。
また、必要に応じて、血液で抗体検査を行う場合もあります。

さらに最近の問題として
オーラルセックスによる咽頭感染も増えています。
子宮頸管にクラミジア感染した女性の10〜20%に咽頭感染があると言われています。
これには厚生労働省でもQ&A(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/qanda.html)を作成し、注意を促しております。

10-20代の若年層が感染し未治療とした場合、将来の妊娠しづらい体にしてしまう可能性があります。これが重大な問題ではないかと思います。

ちなみに、アメリカのCDCのガイドラインでは、25歳以下のすべての女性に対して、年一回の検査を推奨しています。また、最近パートナーが変わった人に対しても検査を勧めております。

治療は抗生剤です。
クラミジア性器感染症は、確実な薬剤の服用とパートナーの同時治療があれば、再発がないと考えられています。
(ガイドラインでは、治療2〜3週間目に病原検査を行い、治癒の確認をすることが望ましいとされています。)

ご心配の方は、是非外来で相談して下さい。


次回は淋菌のお話をします。

副院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

2013.12.06更新

性感染症は、性行為を介して、人から人へ病原微生物が伝播するものです。
性感染症を引き起こす病原微生物では、AIDSを引き起こす後天性免疫不全ウィルス(HIV)やクラミジアなどがよく知られています。

これらの感染の多くは治療できますが、放置しておくと妊娠しにくくなったりします。
またヒトパピローマウィルスによる感染で子宮頸がんになることもあります。
AIDSという困難な病気もあります。


この性感染症の最近の重大な問題は、一般の人たち、特に10代や20代の若い人たちに広がっていることです。


例えば、クラミジア感染症ですが、妊娠中にみんなに検査しています。
その検出率は既婚妊娠女性で約3%、未婚妊娠女性で13%、さらに16〜19歳の若年妊婦女性で20%と高いです。

さらに、(1)症状が無い感染が増えていることや(2)感染部位が性器以外の口腔などに広がっていることも問題として挙げられています。

(1)自覚症状がなければ、気づかずに、治療が行われないまま、他人にうつし、感染が拡大する可能性があります。
(厚生労働省のパンフレットがあります。
男の子版http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/leaf01.pdf
女の子版http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/leaf02.pdf
(2)厚生労働省の資料によると、性交渉の際にオーラルセックスを行うカップルは特に若い世代に多く、調査の結果では7割以上で行われているという調査報告があります。このため、オーラルセックスにより性感染症が拡がることが懸念されています。


まとめ
性感染症は身近な病気である。
自分の体を大切に考える。パートナーと話し合いを大切にする。
おかしいと思ったら、早めに検査を受ける。

次回は、性感染症の約半数を占めるクラミジア感染症についてお話します。

副院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

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