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妊娠中の腰痛、骨盤痛について

外来で、「腰が痛いです」とか「足の付け根あたりが痛いです。」と訴える方が多いです。 妊娠に関連した腰痛や骨盤痛はよくみられる症状です。 妊婦さんの約半数にみられると言われています (約1割の方は腰痛と骨盤痛の症状があります)。 しかも、そのうち約2割が産後数年間も痛みが続き悩まされているようです。妊娠中の腰痛の原因は、妊娠子宮の拡大と腰部への負担で起こると考えられています。従って姿勢の改善や運動方法による腹部や背部の筋力強化が有効です。 一方、骨盤痛は骨盤部の筋骨格の問題で、骨盤部の結合部が妊娠経過に伴い拡大して動きが増えることであると考えられています。 この場合は、骨盤の動きを抑制する骨盤ベルトの使用や骨盤を支持する筋肉の機能強化目的の運動が良いです。 いくつかの文献があります。 ①81人の妊娠中及び産後3週間以内の腰痛のある方に対して、マッサージやストレッチなどのみのコントロール群とエクササイズを加えた群にわけて調べたところ、エクササイズ群の方が、1年後の痛みの強さや生活レベルの改善がみられた。 ②212人の妊娠17~22週の腰痛のある方を2群にわけて経過観察群と週三回の60分のエクササイズを行った群に分けたところ、エクササイズ介入群の方が脊椎の柔軟性が改善し、有意差をもって腰痛が軽減した方が多かった。 ③妊娠18週以前の方で腰痛もしくは骨盤痛がある407人を、経過観察群とトレーニングプログラムでの指導群とトレーニングプログラムでの指導+個別指導群で比較したところ、介入した2群で痛みに関連した問題や病休が減った。特に個別指導した群が産後8週間の時点で痛みがより減っていた。また骨盤ベルトを装着した人の82%がいくらか骨盤痛が軽減した。 ④244人の妊婦を経過観察群と週一回の水中エクササイズ介入群とにわけた。介入群では、腰痛が減少し病休をとる人が少なくなった。特に妊娠後半になるにつれて両群間に差が出ていた。 どの程度のエクササイズがよいのか? 妊娠中はあまり激しい運動は勧めらません。 無理がなく、いわゆる体幹をきたえるような運動がよいのではないかと思われます。 妊婦さん向けのビクスやヨガやスイムがよいのではないでしょうか。 もちろん、腰椎椎間板ヘルニアなどがもともとある方や、切迫早産と診断されている方には運動は勧められませんので、主治医に一度確認をして下さい。 まとめると 妊娠中の腰痛や骨盤痛で困ってる人は多く、これは産後も続く可能性があります。 その改善方法として、ホットパックの使用やマッサージやストレッチもありますが、比較的積極的な手段として、妊婦さん向けの骨盤ベルトを使用や妊婦さん向けのエクササイズが有効ではないかと考えております。 佐野産婦人科医院院長 今野 秀洋(参考文献) 1. 梶原 由布ら;妊娠に伴う腰背部から骨盤周囲の疼痛の実態調査:健康科学: 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻紀要 :7巻:29-35:2011 2. 安藤 布紀子ら;妊娠に関連した腰痛と骨盤痛への介入方法における国外文献の検討:甲南女子大学研究紀要:6:77-83:2012 3. Stuge B et,al;The efficacy of a treatment program focusing on specific stabilizing exercises for pelvic girdle pain after pregnancy: a two-year follow-up of a randomized clinical trial.:Spine:15;29:E197-203: 2004 4. Kihlstrand M et,al;Water-gymnastics reduced the intensity of back/low back pain in pregnant women.:Acta Obstet Gynecol Scand. :78(3):180-5:1999 5. Ostgaard HC et,al;Reduction of back and posterior pelvic pain in pregnancy.:Spine :15;19(8):894-900:1994 6. Garshasbi A et,al.:The effect of exercise on the intensity of low back pain in pregnant women.:Int J Gynaecol Obstet.:88(3):271-5:2005

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