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2015.10.25更新

日本人の約2割が肥満症と言われています。
肥満症は、高血圧症・糖尿病などの全身に影響を与える病気の土台になります。



肥満症の評価の一つとして、Body Mass Index(BMI)があります。

BMIは以下の簡単な計算式でわかります。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

BMIが25以上が肥満症です。

おおよその目安として   身長 155cmの方は、60kg以上
                160cmの方は、64kg以上
                                          165cmの方は、68kg以上   

の方々が肥満となります。


肥満症は、メタボリックシンドロームだけではなく、妊娠に関してもいくつかの悪い影響を与えることがあるので、それについてお話したいと思います。

(1)妊娠前にでる影響(不妊

最近、不妊が重大な話題の一つになっておりますが、肥満と不妊症との間に関係があります。
標準的な体型の方と比較して、肥満の方は妊娠しずらいという報告があります。
軽度肥満(この場合BMI 24〜31)の方の不妊のrelative riskは、1.3(95%CI 1.2-1.6)、高度肥満(BMI 32以上)で2.7(95%CI 2.0-3.7)。
この理由として、月経不順や排卵障害が考えられます。

(2)妊娠中にでる影響

流産
24738人による統計によると、軽度肥満(この場合BMI 25〜29)で11.8%、高度肥満(BMI 28以上)で13.6%の流産率でありました(標準的な体型の方は10.7%)。
肥満になればなるほど流産率が高くなります。
又、流産再発率も肥満の方のほうが高いです(OR 1.71 95%CI 1.05)。

妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中にお母さんが高血糖になることです。それによりお腹の中の赤ちゃんも高血糖になりことにより、周産期に様々な合併症が起こり得ます。
BMIが1増加すると妊娠糖尿病発症率が0.92%あがります。
またBMI 30以上の場合、OR 3.76 (95%CI 3.31-4.28)となります。

妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは、妊娠を契機に血圧が上昇し、時として母子ともに生命の危機に陥る可能性がある合併症の一つです。
約1400万人のデータによると、BMIが5-7上昇すれば、妊娠高血圧症候群の発生頻度が2倍になります。





早産
100万人以上のデータから、早産のリスクが少し高くなることがわかりました(relative risk 1.30 95%CI 1.23-1.37)。

さらに
胎児奇形
いくらかでありますが、二分脊椎(OR 2.24 95%CI 1.86-2.69)、心臓血管奇形(OR 1.30 95%CI 1.12-1.51)、口唇口蓋裂(OR 1.20 95%CI 1.03-1.40)などの胎児奇形の発生率も増えるようです。

子宮内胎児死亡
これも若干ですが増えます(OR 1.24 95%CI 1.18-1.30)。


(3)出産時にでる影響
陣痛促進剤の使用
陣痛促進剤が必要となるケースが多く、その割合は初産婦で44.6%、経産婦で33.6%というデータがあります。
微弱陣痛と先述の妊娠高血圧症候群などがその使用理由となります。


帝王切開
肥満の程度が上がるにつれて、(緊急の)帝王切開率が増加することがわかっています。

標準的なBMIを基準として
BMI  25-30: OR 1.53 (95%CI 1.48-1.58)
        30-35: OR 2.26 (95%CI 2.04-2.51)
        >35   : OR 3.38(95%CI 2.49-4.57)        となります。


肩甲難産
日本では4000g以上の出産は1%前後ですが、分娩の時点で、巨大児となりやすく、頭はなんとかでても、肩が引っかかってでられず、大変なお産になることがあります。

産後出血
イギリスの約29万人のデータによると

BMI  25-30 : OR 1.16(95%CI 1.12-1.21)
           >30 : OR 1.39(95%CI 1.32-1.46)

             と産後の出血も多くなる傾向があります。


つまり、危ない妊娠・分娩になりやすく、大変な管理が必要ということになります。

(4)出産後の影響(母乳

母乳がでずらくなる傾向があります。

以上のように、妊娠にとっても肥満であることは、あまりよいことではないと思いわれます(今回は話しませんが、痩せすぎもまた問題となります。)。

そこで、これから妊娠を考えている考えている方で、肥満傾向のある方は、その準備として少し体重を減らすことをお勧めします。
そのためには、「食事」と「運動」だと思います。

肥満症治療ガイドラインによると、目標は、体重の5-10%を減量することとして

食事は、1日あたり500-1000kcal減らすようにする。
運動は、30分以上、少なくとも週3回すること。

一週間あたり400g減量するぐらいのペースであれば、無理なく、体を壊すことなくできるのではないかと思います。



また最近では、BMI35以上の肥満症の方に対する手術などもあるようです。

東邦大学佐倉病院 消化器外科
http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/sakura/gastro_surgery/bariatric/index.html
この病院の消化器外科では、肥満としっかり向き合って治療をしているようです。

肥満症は、妊娠だけではなく、メタボリックシンドロームとの関連もあり、しっかりと対応しておかないと、もしかしたら人生を大きく変えてしまうことかもしれません。

将来のことも考えて、ご自身の体と向き合うときっとよいのではないかと思っています。

院長 今野秀洋


(参考文献)
1. The Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine; Obesity and reproduction: an educational bulletin ; Fertility and Sterility;90;Suppl 3; S21-29;2008
2. Boots C, et al.;Does obesity increase the risk of miscarriage in spontaneous conception: a systematic review. ; Semin Reprod Med. ; 29(6):507-13.; 2011
3.Torloni MR, et al.; Prepregnancy BMI and the risk of gestational diabetes: a systematic review of the literature with meta-analysis.; Obes Rev.;10(2);194-203;2009
4. O'Brien TE,et al. ;Maternal body mass index and the risk of preeclampsia: a systematic overview.; Epidemiology.;14(3):368-74; 2003
5. McDonald SD, et al.; Overweight and obesity in mothers and risk of preterm birth and low birth weight infants: systematic review and meta- analyses;  BMJ; 20;341:c3428.;2010
6. Calandra C,et al. ; Maternal obesity in pregnancy.; Obstet Gynecol;57(1):8-12;1981
7. Robinson HE, et al.; Maternal outcomes in pregnancies complicated by obesity.; Obstet Gynecol.;106(6):1357-64;2005
8. Poobalan AS,et al. ; Obesity as an independent risk factor for elective and emergency caesarean delivery in nulliparous women--systematic review and meta-analysis of cohort studies.; Obes Rev.;10(1):28-35;2009
9. Sebire NJ,et al. ; Maternal obesity and pregnancy outcome: a study of 287,213 pregnancies in London.; Int J Obes Relat Metab Disord.;25(8):1175-82;2011
10. Aune D, et al; Maternal body mass index and the risk of fetal death, stillbirth, and infant death: a systematic review and meta-analysis.; JAMA; 16;311(15):1536-46.; 2014
11. Stothard KJ,et al; Maternal overweight and obesity and the risk of congenital anomalies: a systematic review and meta-analysis.; JAMA.;11;301(6):636-50;2009
12. Ip S,et al.; A summary of the Agency for Healthcare Research and Quality's evidence report on breastfeeding in developed countries.; Breastfeed Med;4 Suppl 1:S17-30;2009
13. Ehrenberg HM,et al. ;Prevalence of maternal obesity in an urban center.; Am J Obstet Gynecol;187(5):1189-93;2002
14. 平井 千裕ら;【最新肥満症学-基礎・臨床研究の最前線-】 ライフステージ別肥満症の病態と対処法肥満妊婦の管理;日本臨床 最新肥満症学;72増刊4;566-573;2014
15. 日本肥満学会編;肥満症ガイドラインダイジェスト版;2007

投稿者: 佐野産婦人科医院

2015.10.18更新

私もTVドラマ『コウノドリ』(http://www.tbs.co.jp/kounodori/)を視聴しました。




よくある安易なストーリーの医療ドラマとは一線を画していて、現在の分娩に関わる現場で起こりうる現状がしっかりと反映されていると感じました。

一般の方にとって衝撃的なシーンもあるかもしれませんが、多くの方々に拝見してもらえるとよいなあと思いました。

原作の漫画もお勧めです。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%8E%E3%83%89%E3%83%AA-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0-KC-%E9%88%B4%E3%83%8E%E6%9C%A8-%E3%83%A6%E3%82%A6/dp/4063872270/ref=tmm_other_meta_binding_title_0

院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

TEL 047-352-5705 分娩・時間外緊急専用電話 047-303-3020
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