先週発売となった、たまごクラブ2月号の特集の監修のお手伝いをさせていただきました。
テーマは、「妊婦健診を120%活用する方法」です。
日頃皆様が疑問に思っている内容がまとめられているのではないかと考えています。
葉子と私の似顔絵のイラストまで書いていただき、うれしく思っております。
是非、お手にとってご覧いただけたらと思います。
院長 今野 秀洋
2016.01.18更新
たまごクラブ2月号をご覧になってください。
投稿者:
2016.01.16更新
女子の梅毒が増えている話。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/144557.pdf
梅毒は、1943年にペニシリンという抗生物質が開発され、もはや過去の病というイメージが強かったのですが、国立感染症研究所によると、1999〜2012年は500-900例で推移していましたが、2013年は1200人を突破。それからわずか2年の間に2000人を超えました。
特に女性の梅毒感染者が増加しており、5年前から約5倍(男性は約3倍増)となっています。
年代別では、女性の場合、20代が最も多いです。
国立感染症ホームページ
http://www.nih.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-iasrd/4497-pr4095.html
梅毒とは?
Treponema pallidum subspecies pallidum(Tp)という病原体の感染症で、性行為または類似の行為により感染します。
性交時に、皮膚や粘膜の小さな傷からTpが侵入し、最初局所に特有の病変を作り(第1期梅毒)、やがて血行性に全身に拡散して全身の臓器を侵すようになります(第2期梅毒)。
(第1期梅毒)
感染後約3週間すると、Tpの感染した部分に、小豆大〜人差し指先大の軟骨ぐらいの固い結節(初期硬結)を形成します。
やがて硬く盛り上がり、中心に潰瘍を形成して硬性下疳(こうせいげかん)となります。
女性では、大・小陰唇付近や子宮頸部に発症することが多いが、オーラルセックスにより、口唇にできることもあります。
硬性下疳の出現後、両側の鼠径リンパ節などが硬く腫大する場合が多いです。
これらの病変は数週間で消失しますが、瘢痕となり数ヶ月残ります。
(第2期梅毒)
感染後3か月頃より血行性に全身に広がり、皮膚や粘膜の発疹や臓器梅毒症状が見られる。
体幹を中心に顔面、四肢に見られる淡紅色の梅毒性バラ疹、小豆大の赤褐色の丘疹性梅毒疹、肛門や外陰部に発症する扁平コンジローマや口腔内にできる粘膜疹や梅毒性脱毛など全身に多彩な症状を呈する。
治療
抗生物質を4〜8週間投与します。
また、妊娠中の場合も問題となります。
(先天性梅毒)
梅毒にかかっている母親から出生した赤ちゃんが、肝臓・脾臓腫大、紫斑、黄疸、脈絡網膜炎、低出生体重児などの症状を呈します。
また乳幼児期に症状を示さずに経過し、学童期以降に角膜炎や難聴やHutchinson歯を呈することもあります。
予防について
不特定多数との性行為を避けることが基本です。
梅毒感染は以上の症状から考えるとコンドームだけでは、避けることは難しいのではないかと考えられます。
また、パートナー同士での感染がないかどうかの確認が必要だと思います。
きちんと性感染に関する情報を与える機会が少ないことも問題ではないかと感じております。そして、将来悲しい思いをしないように、是非ともしっかりとした知識を持って欲しいと私は思っています。
この問題は梅毒に限られることではなく、子宮頸がんの原因となるHPV(http://www.sanolc.com/blog/2013/10/post-9-655393.html)や不妊の原因となるクラミジア(http://www.sanolc.com/blog/2013/12/post-15-705495.html)・淋菌(http://www.sanolc.com/blog/2013/12/post-16-716739.html)、外陰部ヘルペス(http://www.sanolc.com/blog/2014/03/post-25-781191.html)、尖圭コンジローマ(http://www.sanolc.com/blog/2014/05/post-1-855258.html)そしてHIVなどの性感染症も同じだと思います。
院長 今野 秀洋
(参考文献)
1. 性感染症 診断・治療 ガイドライン 2011; 日本性感染症学会誌;第22巻1号
2. 田中正利 編集;性感染症 STD ;南山堂
投稿者:
2016.01.07更新
月の満ち欠けとお産は関係があるの?
よく、「今日は満月だから生まれるわよ」という話を聞きます。
その他、潮の満ち引きとか気圧も分娩と関連があるのではないかという話もあります。
実際のところ、このような自然現象と分娩との間に関係があるのでしょうか?
いくつかの研究があるので調べてみました。
①分娩が多い時間帯は?
135人の自然分娩を調べた研究によると、陣痛発来は夜中の1〜3時が27人(約2割)と多いようです。また分娩も21時〜2時の間が多く、この間で約1/3の方が生まれていました。
②月の満ち欠けと分娩との関係は?
564039人を調べた研究があります。月の満ち欠けを8つのフェーズに分けて解析しましたが、どのフェーズでも有意差なく、ほぼ均等に生まれていました。
③気圧と分娩との関係は?
2142人の自然分娩を調べた研究によると、1000hpa以下(つまり低気圧時)に破水が増加する傾向がありました(p<0.01)。
また、1日の気圧の変動が大きくなる(±10.2hpa)と分娩が増える傾向がありました(p<0.01)。
一方、両者には関係がないというデータもあります。
④潮の満ち引きと分娩の関係は?
313人を調べた研究によると、潮の満ち引きと前期破水との関連は見出せませんでした。
まとめると
(1) 分娩は夜間が比較的多いです。
(2) 気圧と破水は関係があるかもしれません。
(1)に関しては、なるべく外敵が少ない時間帯に産もうという自然の摂理なのかもしれませんね。
分娩には、胎盤や胎児からのいくつかのホルモンが関連していると言われています。
単一因子だけではなく、いくつかの機序が組み合わさって分娩になるのではないかと思われます。
分娩と月の満ち欠けとは関係ないようでしたが、どちらも神秘的なものであり、それに関連付けようとしたことは、いくらかロマンのある話ではないかなあと思いました。
院長 今野 秀洋
(参考文献)
1. 芥川 修;自然分娩と気圧との関連性;産婦人科の実際;55巻3号 Page543-548;2006
2. 灘 久代ら;陣痛発来と気圧の変化との関連性;日本看護学会論文集: 母性看護;33号 Page92-93;2002
3. 星川 由美子;自然現象と陣痛開始時刻・分娩時刻との関連について;茨城県母性衛生学会誌 19号 Page39-42;1999
4. 菊地 美帆ら;自然現象が分娩開始に及ぼす影響;新潟県立看護大学紀要;2巻 Page23-27;2013
5. 境原 三津夫ら;陣痛発来および前期破水と潮位の関連性;日温気物医誌;77巻2号 Page120-126;2014
5. Arliss JM, et al.;The effect of the lunar cycle on frequency of births and birth complications.;American Journal of Obstetrics & Gynecology. ;192(5):1462-4;2005
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