スタッフブログ

2018.10.25更新

国立がん研究センターの統計から2018年のがん罹患数予測がでております。

 

2018年の全がん罹患予測総数は101万3600人です。
そのうち乳がんの方は86500人、卵巣がん10600人、子宮がん27500人です。

 

そして、がんで死亡する予測総数は37万9900人です。
そのうち乳がんでお亡くなりになる方は14800人、卵巣がん4800人、子宮がん6700人です。

 

 

乳がんの5〜10%は遺伝性と言われています。
乳がん患者の10〜20%は第1度から第3度近親者に乳がん患者を有する、家族性乳がんであるとも報告されています。

HBOCfig1


第一度近親者とは、父母、兄弟(姉妹)、こども(遺伝情報を 50%共有する関係)
第二度近親者とは、祖父母、おじ、おば、おい、めい、孫(遺伝情報を 25%共有する関係)
第三度近親者とは、曾祖父母、大おじ、大おば、いとこなど(遺伝情報を 12.5%共有する関係)

 

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary breast and ovary cancer syndrome:HBOC)とは?

最も代表的な遺伝性乳がんです。
2013年の当時37歳のアンジェリーナ・ジョリーさんが、未発症時に両側乳房切除術を受け、2015年の卵管卵巣切除を施行されてたことが報じられてご存じの方も多いのではないかと思います。

BRCA1とBRCA2という遺伝子の変異が原因とされます。
BRCA遺伝子は、誰もが持っている遺伝子の1つで、DNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。つまり、抑制が効きにくくなり癌化しやすいということです。

 

 

 

HBOCの特徴は?

 

①乳がんと卵巣がんの両方を発症する
②若年で発症する(がん研有明病院2014年データによると、乳がん発症平均年齢41.5歳vs卵巣がん発症平均年齢49.3歳)
③70歳までの累積発症リスクが高い

 

HBOCfig2

 


④トリプルネガティブである。
乳がん腫瘍細胞にエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2の3つが発現していないため、乳癌治療に対して有効性の高いホルモン療法や、抗HER2療法の効果が期待できない。

⑤両側性に同時性、異時性に乳がんを発症する
⑥膵臓がんの発症もある

⑦男性でも乳がんをや前立腺がんを発症する
そのため男性だから大丈夫とは全く言えません。

 


その他に遺伝性乳がんとして、Li-Fraumeni症候群(乳がん、肉腫、脳腫瘍、白血病)Cowden症候群(乳がん、甲状腺がん、子宮体がん)、遺伝性びまん性胃がん症候群(胃がん、乳がん)、Peutz-Jeghers症候群(乳がん、消化器がん)などがあります。

 

 


家族に乳がん患者がいた場合どうすればよいのか?

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き(2017年版)によると、アメリカのNCCNのガイドラインを参照しており、これによると遺伝的にがんリスクが高いと考えられる人々への対策は、①遺伝カウンセリングと②積極的な検診のようです。

 

HBOCfig3

 

欧米のガイドラインなので、そのまま日本に当てはめることは難しい点もありますが、遺伝的リスクがあると考えられる方は、自己検診を含めた定期的なこまめな検診が重要であると思います。


卵巣がん検診は、きちんとしたエビデンスがないとは言われていますが、一つの方法として
癌研有明病院からの報告では3ヶ月ごとの経腟超音波検査および腫瘍マーカー採血を提案をしています。


最後に
今までは、発症した乳がんや卵巣がんに対して治療を行ってきたのが現状です。
これからは今までの経験の元、サーベランスやリスク低減手術の実施などにより、もっと沢山の患者さんを救うことが出来るのではないかと考えられています。

私は、もっと沢山の方に検診を受けて欲しいと強く願っております。

(猶、当院では子宮がんを含めた婦人科検診のみとさせていただいております。乳がん検診は乳がんの専門医師による診察をお勧めします。)


院長 今野 秀洋

 

 

 

(参考文献)
1. 田辺 記子ら:【先制医療-予防医療の最前線-】 非内科疾患の先制医療 遺伝性腫瘍における乳がんへの先制医療 遺伝性乳がん卵巣がん症候群を中心に:診断と治療:106:1:98-105:2018
2. 野村 秀高ら:【ガイドラインのすき間を埋める!臨床医マエストロの技】 婦人科領域 HBOCを疑う卵巣がん症例への対応は?:産婦人科の実際:66:11:1497-1506:2017
3. 新井 正美:産婦人科臨床遺伝の最前線 腫瘍分野の臨床遺伝 HBOCとリンチ症候群:日本産科婦人科学会雑誌:69:10:1943-1949:2017
4. 越智 友洋:遺伝性乳がん:成人病と生活習慣病:47 : 7 :855-860:2017
5. 野村 秀高ら:当科におけるHBOC診療の実際:癌と化学療法:44:2:116-120:2017
6. 関根正幸:遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC):新潟医学会雑誌:130:3:2016
7. 遠山竜也 :第160回 名古屋市立大学医学会例会 特別講演 遺伝性乳がんについて:Nagoya Med. J:5:121―128:2017

8. Antoniou A et al. : Average Risks of Breast and Ovarian Cancer Associated with BRCA1 or BRCA2 Mutations Detected in Case Series Unselected for Family History: A Combined Analysis of 22 Studies:Am J Hum Genet.:72:117-1130:2003

9. McLaughlin JR et, al:Reproductive risk factors for ovarian cancer in carriers of BRCA1 or BRCA2 mutations: a case-control study.:Lancet:8:1:26-34:2007
10. 松山純子ら:183 個の同時多発性病変を認めた若年者胃癌症例 :日本消化器外科学会雑誌:50:5:357-363 :2017
11.特定非営利活動法人日本 HBOC コンソーシアム 広報委員会 編集 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)を ご理解いただくために(ver.3) (http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver3.pdf)
12.遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き 2017年版 金原出版社

 

 

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2018.10.25更新

国立がん研究センターの統計から2018年のがん罹患数予測がでております。

 

2018年の全がん罹患予測総数は101万3600人です。
そのうち乳がんの方は86500人、卵巣がん10600人、子宮がん27500人です。

 

そして、がんで死亡する予測総数は37万9900人です。
そのうち乳がんでお亡くなりになる方は14800人、卵巣がん4800人、子宮がん6700人です。

 

 

乳がんの5〜10%は遺伝性と言われています。
乳がん患者の10〜20%は第1度から第3度近親者に乳がん患者を有する、家族性乳がんであるとも報告されています。

HBOCfig1


第一度近親者とは、父母、兄弟(姉妹)、こども(遺伝情報を 50%共有する関係)
第二度近親者とは、祖父母、おじ、おば、おい、めい、孫(遺伝情報を 25%共有する関係)
第三度近親者とは、曾祖父母、大おじ、大おば、いとこなど(遺伝情報を 12.5%共有する関係)

 

 

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary breast and ovary cancer syndrome:HBOC)とは?

最も代表的な遺伝性乳がんです。
2013年の当時37歳のアンジェリーナ・ジョリーさんが、未発症時に両側乳房切除術を受け、2015年の卵管卵巣切除を施行されてたことが報じられてご存じの方も多いのではないかと思います。

BRCA1とBRCA2という遺伝子の変異が原因とされます。
BRCA遺伝子は、誰もが持っている遺伝子の1つで、DNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。つまり、抑制が効きにくくなり癌化しやすいということです。

 

 

 

HBOCの特徴は?

 

①乳がんと卵巣がんの両方を発症する
②若年で発症する(がん研有明病院2014年データによると、乳がん発症平均年齢41.5歳vs卵巣がん発症平均年齢49.3歳)
③70歳までの累積発症リスクが高い

 

HBOCfig2

 


④トリプルネガティブである。
乳がん腫瘍細胞にエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2の3つが発現していないため、乳癌治療に対して有効性の高いホルモン療法や、抗HER2療法の効果が期待できない。

⑤両側性に同時性、異時性に乳がんを発症する
⑥膵臓がんの発症もある

⑦男性でも乳がんをや前立腺がんを発症する
そのため男性だから大丈夫とは全く言えません。

 


その他に遺伝性乳がんとして、Li-Fraumeni症候群(乳がん、肉腫、脳腫瘍、白血病)Cowden症候群(乳がん、甲状腺がん、子宮体がん)、遺伝性びまん性胃がん症候群(胃がん、乳がん)、Peutz-Jeghers症候群(乳がん、消化器がん)などがあります。

 

 


家族に乳がん患者がいた場合どうすればよいのか?

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き(2017年版)によると、アメリカのNCCNのガイドラインを参照しており、これによると遺伝的にがんリスクが高いと考えられる人々への対策は、①遺伝カウンセリングと②積極的な検診のようです。

 

HBOCfig3

 

欧米のガイドラインなので、そのまま日本に当てはめることは難しい点もありますが、遺伝的リスクがあると考えられる方は、自己検診を含めた定期的なこまめな検診が重要であると思います。


卵巣がん検診は、きちんとしたエビデンスがないとは言われていますが、一つの方法として
癌研有明病院からの報告では3ヶ月ごとの経腟超音波検査および腫瘍マーカー採血を提案をしています。


最後に
今までは、発症した乳がんや卵巣がんに対して治療を行ってきたのが現状です。
これからは今までの経験の元、サーベランスやリスク低減手術の実施などにより、もっと沢山の患者さんを救うことが出来るのではないかと考えられています。

私は、もっと沢山の方に検診を受けて欲しいと強く願っております。

(猶、当院では子宮がんを含めた婦人科検診のみとさせていただいております。乳がん検診は乳がんの専門医師による診察をお勧めします。)


院長 今野 秀洋

 

 

 

(参考文献)
1. 田辺 記子ら:【先制医療-予防医療の最前線-】 非内科疾患の先制医療 遺伝性腫瘍における乳がんへの先制医療 遺伝性乳がん卵巣がん症候群を中心に:診断と治療:106:1:98-105:2018
2. 野村 秀高ら:【ガイドラインのすき間を埋める!臨床医マエストロの技】 婦人科領域 HBOCを疑う卵巣がん症例への対応は?:産婦人科の実際:66:11:1497-1506:2017
3. 新井 正美:産婦人科臨床遺伝の最前線 腫瘍分野の臨床遺伝 HBOCとリンチ症候群:日本産科婦人科学会雑誌:69:10:1943-1949:2017
4. 越智 友洋:遺伝性乳がん:成人病と生活習慣病:47 : 7 :855-860:2017
5. 野村 秀高ら:当科におけるHBOC診療の実際:癌と化学療法:44:2:116-120:2017
6. 関根正幸:遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC):新潟医学会雑誌:130:3:2016
7. 遠山竜也 :第160回 名古屋市立大学医学会例会 特別講演 遺伝性乳がんについて:Nagoya Med. J:5:121―128:2017

8. Antoniou A et al. : Average Risks of Breast and Ovarian Cancer Associated with BRCA1 or BRCA2 Mutations Detected in Case Series Unselected for Family History: A Combined Analysis of 22 Studies:Am J Hum Genet.:72:117-1130:2003

9. McLaughlin JR et, al:Reproductive risk factors for ovarian cancer in carriers of BRCA1 or BRCA2 mutations: a case-control study.:Lancet:8:1:26-34:2007
10. 松山純子ら:183 個の同時多発性病変を認めた若年者胃癌症例 :日本消化器外科学会雑誌:50:5:357-363 :2017
11.特定非営利活動法人日本 HBOC コンソーシアム 広報委員会 編集 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)を ご理解いただくために(ver.3) (http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver3.pdf)
12.遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き 2017年版 金原出版社

 

 

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

TEL 047-352-5705 分娩・時間外緊急専用電話 047-303-3020
top_img14_1_sp.png
top_img14_2_sp.png
TOMORU助産院TOMORU助産院
院長ブログ院長ブログ
スタッフブログスタッフブログ
フェイスブックフェイスブック
浦安市長への意見書浦安市長への意見書
署名運動ご協力のお願い署名運動ご協力のお願い