スタッフブログ

2019.09.15更新

浦安市子宮がん検診において、来年度より経腟超音波検査が行うことができなくなりそうです。

 

以前より浦安市内のどこの施設でも、子宮がん検診において内診時に経腟超音波検査を全例行っておりました。

 

健康増進課によると来年度より、「浦安市では子宮がん検診とは子宮頸がん検診のことを指し、子宮頸がんの早期発見を目的とする検査であり、それ以外の子宮や卵巣の病気は、この検査で診断するものではありません。」とのお話しがありました。

 

しかしながら、健康増進課に確認したところ、今後は経腟超音波検査を削除するようにとのことでした。

私達、浦安市内の産婦人科医院、クリニックの産婦人科医は皆大変驚きました。

 

確かに経腟超音波検査は子宮頸がんのみの診断にはあまり役に立たないかもしれません。

 

しかしながら、多くの市民は、婦人科的に大丈夫かどうか心配されながら年に一度の検診に重い腰を上げていらっしゃいます。

子宮がん検診では、かつては内診(つまり触診)を行っておりました。

 

 

しかし、どこの施設にもある経腟超音波検査の方が、触診より受診される方の精神的苦痛が少ないのは明らかです。

また、検査する我々からも、触診より得られる情報はずっと多く、(超音波検査ですべてがわかるわけではありませんが)、より色々な疾患を見落とさないため、検査させていただいた方が安心であります。


東京都がん検診センターでは、子宮、卵巣の現状を確認するために経腟超音波検査を行いますと明記しています。(http://www.tokyo-cdc.jp/about/sikyuu.html

今まで通例で行われていた経腟超音波検査をどうしてあえて削除しなければいけないのでしょうか?

 


子宮がん検診で経腟超音波検査を行ったほうがよいという理由を浦安市に対して大変畏れ多いのですが、いくつかの研究結果を提示したいと思います。

 

 

①経腟超音波検査を用いた卵巣がん集団検診について

 

青森県からの12年間観察した報告です。

 

子宮がん検診で来られた226198人に同時に経腟超音波検査を行い、超音波検査にて「卵巣が30mm以上の大きさである」「嚢胞性成分と充実性成分が混ざった腫瘍を認める」、「異常な腹水を認める」といった異常所見を認めた場合、二次検診、精密検査をするという方針を施行しました。

経腟超音波検査にて異常所見を認めた方は、このうち6675人で、最終的に診断・治療目的に手術となった方が380人でした。

その中で、良性だった方が352人で、境界・悪性腫瘍が28人でした。

つまり、この検診システムで良悪問わずの疾患をみつけることができたのは、一次検査受診者総数に対して、1.6%であり、がん発見率は、0.12%でありました。

しかも初回検診受診者に対しては0.48%で、発見された原発性卵巣がんはその76.9%がI期であり、早期卵巣がん発見という検診の目的にかなうものでありました。

また所要時間は、子宮頸がん検診に30秒、経腟超音波検査に30秒と合計1分なので、決して時間もかからず、集団検診として十分成立可能な時間でありました。

 

 

 

②子宮頸がん検診に経腟超音波検査を併用し発見される子宮内膜疾患について

 

新潟県からの報告です。

 

 

無症状閉経後の4941人をこの研究の対象者とした。
一次検査で、子宮頸部細胞診を採取した後に、経腟超音波検査を行い、子宮内膜肥厚(≧5mm)を二次検診対象者とした。

経腟超音波検査で異常と判断され、二次検診対象者となったのは37人(0.74%)でした。
そのうち精密検査で結果判明したのは、子宮体がん1人、子宮内膜増殖症1人、子宮内膜ポリープ3人、子宮粘膜下筋腫2人、子宮留水腫1人でした。

子宮体がんは、IA期であり、手術を受けましたが、術後15ヶ月で再発はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

元々行っていなかった検査ではなく、ずいぶん前から行っていた検査を減らすということは、予防的観点からも時代に逆行しているのではないでしょうか?

 

 

 

 

たまたま検診で来られた方に、経腟超音波検査を行って、初めて子宮筋腫を指摘することはめずらしくありません。
子宮筋腫は時として、将来の不妊の原因になることもあります。
今の時点でその方に助言を与えるチャンスがなくなることは、大げさに言えば、その方の人生を悪い方へ変えてしまうかもしれません。


「子宮がん検診では今後は経腟超音波検査を削除するように」という浦安市の方針に対して、産婦人科医師の私は残念でなりません。

 


詳細が分かり次第、ご連絡させていただきます。

 

 

院長 今野 秀洋

(参考文献)

1.佐藤重美ら:経腟超音波断層法による卵巣癌集団検診成績の検討;産婦人科の実際;52;7;1011-1013;2003
2. Sato S,et al;Usefulness of mass screening for ovarian carcinoma using transvaginal ultrasonography;Cancer;1;89;582-588;2000
3. Jacobs IJ, et al.;Ovarian cancer screening and mortality in the UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening (UKCTOCS): a randomised controlled trial;Lancet. ;5;387;945-956;2016
4. 石黒久美子ら;閉経後の子宮頸がん検診に併用した経腟超音波検査法から発見される子宮内膜疾患;人間ドック;30;65-70;2015
5.赤松 信雄;子宮体がんにおける超音波検査;臨婦産;63;9;1165-1173;2009

投稿者: 佐野産婦人科医院

2019.09.15更新

浦安市子宮がん検診において、来年度より経腟超音波検査が行うことができなくなりそうです。

 

以前より浦安市内のどこの施設でも、子宮がん検診において内診時に経腟超音波検査を全例行っておりました。

 

健康増進課によると来年度より、「浦安市では子宮がん検診とは子宮頸がん検診のことを指し、子宮頸がんの早期発見を目的とする検査であり、それ以外の子宮や卵巣の病気は、この検査で診断するものではありません。」とのお話しがありました。

 

しかしながら、健康増進課に確認したところ、今後は経腟超音波検査を削除するようにとのことでした。

私達、浦安市内の産婦人科医院、クリニックの産婦人科医は皆大変驚きました。

 

確かに経腟超音波検査は子宮頸がんのみの診断にはあまり役に立たないかもしれません。

 

しかしながら、多くの市民は、婦人科的に大丈夫かどうか心配されながら年に一度の検診に重い腰を上げていらっしゃいます。

子宮がん検診では、かつては内診(つまり触診)を行っておりました。

 

 

しかし、どこの施設にもある経腟超音波検査の方が、触診より受診される方の精神的苦痛が少ないのは明らかです。

また、検査する我々からも、触診より得られる情報はずっと多く、(超音波検査ですべてがわかるわけではありませんが)、より色々な疾患を見落とさないため、検査させていただいた方が安心であります。


東京都がん検診センターでは、子宮、卵巣の現状を確認するために経腟超音波検査を行いますと明記しています。(http://www.tokyo-cdc.jp/about/sikyuu.html

今まで通例で行われていた経腟超音波検査をどうしてあえて削除しなければいけないのでしょうか?

 


子宮がん検診で経腟超音波検査を行ったほうがよいという理由を浦安市に対して大変畏れ多いのですが、いくつかの研究結果を提示したいと思います。

 

 

①経腟超音波検査を用いた卵巣がん集団検診について

 

青森県からの12年間観察した報告です。

 

子宮がん検診で来られた226198人に同時に経腟超音波検査を行い、超音波検査にて「卵巣が30mm以上の大きさである」「嚢胞性成分と充実性成分が混ざった腫瘍を認める」、「異常な腹水を認める」といった異常所見を認めた場合、二次検診、精密検査をするという方針を施行しました。

経腟超音波検査にて異常所見を認めた方は、このうち6675人で、最終的に診断・治療目的に手術となった方が380人でした。

その中で、良性だった方が352人で、境界・悪性腫瘍が28人でした。

つまり、この検診システムで良悪問わずの疾患をみつけることができたのは、一次検査受診者総数に対して、1.6%であり、がん発見率は、0.12%でありました。

しかも初回検診受診者に対しては0.48%で、発見された原発性卵巣がんはその76.9%がI期であり、早期卵巣がん発見という検診の目的にかなうものでありました。

また所要時間は、子宮頸がん検診に30秒、経腟超音波検査に30秒と合計1分なので、決して時間もかからず、集団検診として十分成立可能な時間でありました。

 

 

 

②子宮頸がん検診に経腟超音波検査を併用し発見される子宮内膜疾患について

 

新潟県からの報告です。

 

 

無症状閉経後の4941人をこの研究の対象者とした。
一次検査で、子宮頸部細胞診を採取した後に、経腟超音波検査を行い、子宮内膜肥厚(≧5mm)を二次検診対象者とした。

経腟超音波検査で異常と判断され、二次検診対象者となったのは37人(0.74%)でした。
そのうち精密検査で結果判明したのは、子宮体がん1人、子宮内膜増殖症1人、子宮内膜ポリープ3人、子宮粘膜下筋腫2人、子宮留水腫1人でした。

子宮体がんは、IA期であり、手術を受けましたが、術後15ヶ月で再発はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

元々行っていなかった検査ではなく、ずいぶん前から行っていた検査を減らすということは、予防的観点からも時代に逆行しているのではないでしょうか?

 

 

 

 

たまたま検診で来られた方に、経腟超音波検査を行って、初めて子宮筋腫を指摘することはめずらしくありません。
子宮筋腫は時として、将来の不妊の原因になることもあります。
今の時点でその方に助言を与えるチャンスがなくなることは、大げさに言えば、その方の人生を悪い方へ変えてしまうかもしれません。


「子宮がん検診では今後は経腟超音波検査を削除するように」という浦安市の方針に対して、産婦人科医師の私は残念でなりません。

 


詳細が分かり次第、ご連絡させていただきます。

 

 

院長 今野 秀洋

(参考文献)

1.佐藤重美ら:経腟超音波断層法による卵巣癌集団検診成績の検討;産婦人科の実際;52;7;1011-1013;2003
2. Sato S,et al;Usefulness of mass screening for ovarian carcinoma using transvaginal ultrasonography;Cancer;1;89;582-588;2000
3. Jacobs IJ, et al.;Ovarian cancer screening and mortality in the UK Collaborative Trial of Ovarian Cancer Screening (UKCTOCS): a randomised controlled trial;Lancet. ;5;387;945-956;2016
4. 石黒久美子ら;閉経後の子宮頸がん検診に併用した経腟超音波検査法から発見される子宮内膜疾患;人間ドック;30;65-70;2015
5.赤松 信雄;子宮体がんにおける超音波検査;臨婦産;63;9;1165-1173;2009

投稿者: 佐野産婦人科医院

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