スタッフブログ

2021.10.02更新

10月1日より、妊婦さんにむけて、インフルエンザワクチン接種を開始しました。

 

 

妊娠中の方に、インフルエンザワクチンを勧める理由は?

すべての妊婦さんに対して、日本、米国におけるガイドラインでは、インフルエンザワクチン接種を推奨しております。


ではなぜ、妊娠中の方に、インフルエンザワクチンを勧めるのでしょうか?
これにはいくつかの理由があります。

 

 

お母さんにとってのメリット

過去の調査では、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化しやすいことがわかりました。
心肺機能が悪化し、入院する相対的リスクは、産後の方と比較して、多いと4.67倍高くなります。

 

flu1

 

 

 


表に示すように、出産に近づくにつれて相対的リスクは上がります。
これは、出産の準備として循環血液量が増加するため(妊娠末期で、妊娠していない時から約45%くらい増量します)、もともと心臓や肺に負担がかかった状態となり、それにインフルエンザ感染がさらなる負担になるかではないかと考えられます。

 

また、340人の妊婦を調査した別の調査では、インフルエンザワクチンを接種することにより、呼吸障害が36%も減少することがわかりました。

 

 

 

赤ちゃんにとってのメリット

生後6ヶ月未満の赤ちゃんにはインフルエンザワクチンを接種することができません。赤ちゃんが感染することを防ぐには、まずお母さんがかからないようにすることが大事です(これは一緒に住む家族も同じだと思います。)

また、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、お母さんの体に抗体が産生されますが、それが胎盤を通過して、胎児に移行することがわかっております。
つまり、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、生まれた赤ちゃんはインフルエンザにかかりにくくなると言えます。生後6ヶ月までに63%の感染を減らせるとのデータがあります。

 

flu2

 

 

 

 

 


別の調査でも赤ちゃんの血液中には、おおよそ移行抗体は半年くらいは存在することがわかっています。

 

 


以上より、特にワクチンに対するアレルギーがない妊娠中の方にはインフルエンザワクチンの接種をお勧めします。

 

 

 

推奨されるインフルエンザワクチンの接種の時期は?

インフルエンザワクチンによる、妊娠への影響はないと思われますので、妊娠している場合、すべての週数で接種ができます。

 

ワクチンの接種から抗体ができるまで約2週間くらいかかります。
約半年の効果期間はあります。

 

 

当院では妊婦さん向けに、防腐剤の入っていないワクチンを用意しております。

 

院長 今野 秀洋

 


(参考文献)
1. Madhi SA, et al. ;Influenza vaccination of pregnant women and protection of their infants.;N Engl J Med. ;2014; 4;371(10):918-31.
2. Zaman K,et al. ; Effectiveness of maternal influenza immunization in mothers and infants.;N Engl J Med. ;2008;9;359(15):1555-64.
3. Neuzil KM, et al.; Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in
pregnant women. ;1998 Dec 1;148(11):1094-102.
4. 二井 立恵ら;妊婦におけるインフルエンザワクチンの免疫原性・安全性;小児科;   
 2012;53;4;497-503
5. 二井 立恵ら;ワクチン歴による妊婦のインフルエンザ赤血球凝集抑制抗体の保有状況と児へ
の抗体移行に関する検討;小児科臨床;2010;63;11;2329-2336
6. 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.09.25更新


日本産婦人科学会のホームページにCOVID-19に感染した180人の報告がアップされていました。
その資料(https://www.jsog.or.jp/news/pdf/COVID-19_20210915b.pdf)を要約してみました。

 

 

 

(1)妊婦さんにおける重症度の割合

 

COVID割合


ちなみに重症度の分類は以下のようになっております。

「軽症」とは、呼吸器症状なしor咳なし・肺炎症状を認めない、spO2≧96%
「中等症 I」とは、呼吸困難・肺炎所見、93%<spO2<96%(呼吸不全なし)
「中等症 II」とは、酸素投与が必要、spO2≦93%
「重症」とは、ICUに入室or人工呼吸器が必要


入院が必要となる中等症以上は47人(26.1%)であり、つまり約4人に1人が入院を要する状況だったと思われます。
一方、軽症者が約7割で、そのうち有症状は116人(64.4%)でした。

 

 

 


(2)診断週数と重症度

 

 

COVID診断週数

 

 

妊娠初期から分娩時まで幅広く分布しておりますが、グラフから中期から後期が比較的多いような印象を受けます。

 

 

 

  

(3)年齢と重症度

 

 

  

COVID年齢

 

 

グラフからは、29歳以下では重症者はいないようです。

 

 

 


(4)中等症 II・重症のリスク

 

 

・母体年齢 31歳以上  1.26倍
・妊娠週数 25週以降  1.32倍
・BMI 26.3以上 1.23倍
・呼吸器疾患の既往   1.36倍
・アレルギー歴     1.33倍

 

上記に当てはまる方は少し注意が必要です。

 

 

 

(5)産科合併症

全体の早産率が23.5%、軽症・中等症 Iが12.5%、中等症 II・重症では57.1%(p<0.001)と
母体の状況悪化による人工早産の影響があるのか、早産が増えるようです。

また、重症化するにつれて妊娠糖尿病発症も高くなる(軽症・中等症 Iが1.6%、中等症 II・重症では14%(p=0.045)ことがわかりました。

 

 

 

 


(5)児に関する情報

 

 

新生児感染はないようです。
死産や新生児死亡もないようです。

 


まとめると
・重症化すると早産率が増加する
・31歳以降、妊娠25週以降、BMI26.3以上、喘息などの呼吸器疾患の既往、アレルギーの既往はCOVID-19重症化のリスクである。

 

院長 今野 秀洋

 

(参考資料)

日本産婦人科学会ホームページより;https://www.jsog.or.jp/news/pdf/COVID-19_20210915b.pdf

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.09.15更新

妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方は、新型コロナワクチン接種が推奨されております。

(厚労省ホームページよりhttps://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html

 

 

 

妊娠中である16歳から54歳、35691人を調べた報告があります。

ファイザー社ワクチンを接種した方が19252人、モデルナ社ワクチンを接種した方が16439人の計35691人を調査しております。

 

 

各社ワクチンの副反応の頻度を表にしております。

 

vaccine

 

 

 

妊娠していない方と比較してみたところ、「注射部位痛」は頻度が少し多かったものの、「頭痛」、「筋肉痛」、「寒気」、「発熱」は発生頻度が少ない傾向がありました。

 

 

 

また、妊娠中の流早産や児への影響についても調べてあります。

 

outcome

 

 

予後も接種有無で変わらないようです。

 


まとめると

妊娠中の新型コロナワクチン接種による副反応は認めるものの、重篤化することはなさそうです。

また、児への影響もみられないのではないかと考えられます。

 

 

 

もう一つ妊娠中のワクチン効果について調べた報告もあります。

出産した2002人を調べています。

 

140人(7.0%)が妊娠中にワクチン接種を行い(中央値 妊娠32週(妊娠13週6日〜40週4日)、このうち73.6%が2回接種完遂できました。

また、212人(10.6%)が、妊娠中にCOVID-19に感染しておりました。

 

vaccine2

 

 


このうちワクチン接種した方のうち2人(2/140人、1.4%)が分娩までにCOVID-19に感染しました。

感染率で比較して、妊娠中のワクチン接種群 vs 非接種群=1.4% vs 11.3%(210/1862), p<0.0001)であり、つまりワクチン接種の方が感染率が低く、ワクチン接種に感染予防の効果があることがわかりました。

 

院長 今野 秀洋

(参考文献)
1. Shimabukuro TT, et al. : Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons: N Engl J Med. 2021.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2104983
2. RN Theiler, et al; Pregnancy and birth outcomes after SARS-CoV-2 vaccination in pregnancy: Am J Obstet Gynecol MFM. 2021

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.09.12更新

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)からの報告です。


①5252人のCOVID-19に感染した妊婦さんとそのベビーをまとめた報告

母親の年齢 中央値 28.9歳(つまり若い女性です。)

4495人(99.3%)は生産となりました。

 

12.9%(506名)は早産となりました。


USAの早産率は10.2%なので、COVID-19に感染した場合の方が、少し早産率が上がっているように思われます。

 

 

週数別にわけると
34-36週で出生 357名(全体の9.1%)
32-33週で出生 50名(全体の1.3%)
28-31週で出生 69名(全体の1.8%)
28週未満で出生 30名(全体の0.8%)

ちなみに早産の頻度は、COVID-19に感染した母親が症状の有無とは関係がありませんでした。

つまり無症状だから早産しにくいわけでもありません。

 

 

残念ながら9名(0.2%)は、病院で新生児死亡となっております。

 

 

分娩前14日以内に感染した母親から生まれたベビーのうち、4.3%(328名中、14名)新生児にPCR陽性となっていました。
一方、PCR陽性から14日以上経過したベビーは、PCR陽性は0名でした。

 

 

 

 


②15歳から44歳のCOVID-19に感染した有症状である、23434人の妊婦さんと386028人の妊娠していない女性を比較した報告

 

 

 

coviddata

 


まとめると
妊娠すると、COVID-19に感染した場合、比較して少し重症化しやすいようです。
また、早産の頻度が少し増える可能性があります。


院長 今野 秀洋

 

 

(参考文献)
1. Woodworth KR, et al.: Birth and Infant Outcomes Following Laboratory-Confirmed SARS-CoV-2 Infection in Pregnancy — SET-NET, 16 Jurisdictions, March 29–October 14, 2020
2. Delahoy MJ, et al.: Update: Characteristics of Symptomatic Women of Reproductive Age with Laboratory-Confirmed SARS-CoV-2 Infection by Pregnancy Status — United States, January 22–October 3, 2020

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.08.26更新

先日、当院の帝王切開術の割合についてご質問がありました。


当院の緊急帝王切開率は8.8%となります。

 

現時点での今年の当院の緊急帝王切開率は8.8%です。

 

また前回帝王切開で分娩された、あるいは逆子など、予定帝王切開術となった方の割合は8.2%です。

 

 

ご参考にしてください。

院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.08.23更新

妊娠中は、新型コロナウィルスに感染しやすく、特に後期は重症化しやすいと言われています。

また、流産や早産が少し増えるという話もあります。


市川市では、妊娠中の方やその同居のご家族の方、障害者手帳をお持ちの方やその同居のご家族の方などの優先予約の申請を8月31日(火曜)まで受け付けています。


検討してしてください。

 

新型コロナウィルスワクチンについて
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210814_COVID19_02.pdf

市川市 新型コロナワクチン接種について
https://www.city.ichikawa.lg.jp/pub10/vaccine.html

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.08.23更新

本日、日本産婦人科学会から妊娠中に新型コロナウイルス感染され、自宅や宿泊療養されている方へ情報発信されております。

 


以下のような妊娠に関連した異常については、かかりつけの産婦人科の先生に連絡してください。

 

・性器出血、破水感、頻回の子宮収縮、胎動減少、強い腹痛など
・その他、助産師さん等からの妊婦健診時に言われた症状

 

 


新型コロナウイルス感染症の症状について まず、以下の健康観察を行ってください。
(おそらく保健所から同じ情報が得られると思います。)

 

①呼吸状態、心拍数や呼吸数の計測
②体温
③パルスオキシメーター(サチュレーションモニター)をお持ちの場合は、酸素飽和度(血液内の酸素の量:SpO2)の計測

 

(A)以下の場合には、かかりつけの産婦人科の先生もしくは保健所に連絡してください。

①1時間に2回以上の息苦しさを感じる時
②トイレに行くときなどに息苦しさを感じるようになった時
③心拍数が1分間に 110 回以上、もしくは呼吸数が 1 分間に 20 回以上
④安静にしていても酸素飽和度が 93-94%から1時間以内に回復しない時 (妊娠中は赤ちゃんのために 95%以上の酸素飽和度が必要です)

 

(B)以下の場合は、すぐに救急車を要請してください。

①息苦しくなり、短い文章の発声も出来なくなった時
②酸素飽和度(SpO2)が 92%以下になった時

 

日本産婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/news/pdf/COVID19_20210823.pdf

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.03.15更新

本日たまごクラブが発売になりました。

 

tamagokulabu20214

 

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%81%94%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96-2021%E5%B9%B44%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B08DDYVVHH/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1KQK10KRTQOUQ&dchild=1&keywords=%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%81%94%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96&qid=1615802373&sprefix=%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%81%94%2Caps%2C275&sr=8-3

 

「さかごになったらどうする」というテーマの記事作成のお手伝いさせていただきました。

 

 

是非ご覧になってください。

院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

2021.02.18更新

 

先日、「ちゃんと避妊しています。」という方がいらっしゃいました。
どのような方法で避妊されているのか伺ったところ、「腟外射精」とのことでした。

 

 


皆さんは、ご自身たちが選択している避妊方法の避妊率をご存じでしょうか?


以下に、日本でできる主な避妊方法とその避妊率をお示しします。

 

hininritu

 


特別に何もしなければ、おおよそ1年間に100人中85人の方が妊娠します。

 

 

 

「継続的で正確な使用」というのは、ものすごくきちんとしていた場合(例えば、経口避妊薬の場合、飲み忘れなく、正しい時間に内服し続けることができたなど)という意味で、通常はどちらかと言うと一般的な右側を参考すべきではないかと思われます。

 

 

腟外射精では、20%はぐらい妊娠する可能性があります。

 

比較的確実な避妊方法は、青色の部分です。

 

ご参考にしていただけたらと思います。

院長 今野 秀洋

 

 

(参考資料)
WHO; Family Planning - A global handbook for providers 2018 edition
https://www.who.int/reproductivehealth/publications/fp-global-handbook/en/

投稿者: 佐野産婦人科医院

2020.11.03更新

皆さんは納豆などの発酵食品を普段からよく食べているでしょうか?

 

今回は、妊娠中の方が日本では馴染みがある納豆やみそ汁を取るといいですよというお話です。

 


腸内細菌の役割の一つに免疫応答のサポートがあると言われており、つまり腸内細菌が感染防御に関わっていると考えられています。

早産の原因の一つに感染症があります。また、早産された方と早産しなかった方とは腸内細菌が異なるという報告もあります。

発酵食品は腸内細菌に影響を与え、粘膜の免疫に関与することがわかっております。

 

 

つまり、妊娠中に発酵食品を摂取することにより、腸内細菌に影響を与え、感染防御の仕組みをよい方向へ変化させ、早産が減るかもしれないという仮説が立つわけです。

 

 


これを調べた日本の報告があります。

77667人の早産経験のない妊婦さんを調査し解析しております。

年齢は30.9±5.0歳、BMIは21.1±3.0kg/m2、分娩週数は38.9±1.4週
このうち、早産がした人が3.0%(2343人/77667人)でありました。
(日本の早産率は、5.6%程度と言われており、今回の調査対象が3.0%と少なかった理由は、早産リスクの低い方を調べているからと考えられます。)

 

 

発酵食品については、みそ汁、ヨーグルト、チーズ、納豆を摂取していたかどうか調べています。

 

34週未満の早産発症について比較調査しております。

 

 

 

発酵食品

 

 

①みそ汁
みそ汁摂取が1週間に1度未満の方が早産することを1とすると
1週間に1〜2日の方が0.58、3〜4日の方が0.69、5日以上の方が0.62とみそ汁摂取している方々の方が早産が少ないことがわかりました。

 

②ヨーグルト
同様に1週間に1回未満の方が早産することを1とすると
1週間に5回以上ヨーグルトを摂取する方は0.62と少ないようです。

 

 

③チーズ
同様に評価して、チーズを摂取する方のほうが早産少ない傾向はみられました(ただし統計上の有意差はでておりません。)

 

 

④納豆
同様に評価で、1週間に3回以上納豆を摂取する方は0.60と少ないようです。

 

 


ただし、この調査では34〜36週の早産発症については、いずれの発酵食品でも非摂取群とかわりはなかったようです。

 

 


さらに、早産既往のある方で同じ調査をしたところ、納豆を1週間に1〜2回納豆を摂取する人のほうが早産が少ないことがわかりました(Adjusted OR(95%CI) 0.52((0.82-0.97) p=0.039)。

 

 

 

 

日本では、早産が20人に1人と言われております。
早産の原因や感染だけではなく、体質などもあります。

発酵食品のみで早産しないわけではありませんが、妊娠中に、身近にある納豆、みそ汁、ヨーグルト、チーズを摂取すると、早産することが減るかもしれません。

いつもの食事に発酵食品を加えてみるのはいかがでしょうか?

 

 

 


院長 今野 秀洋

 

(参考文献)
Mika Ito, et al; Fermented foods and preterm birth risk from a prospective large cohort study: the Japan Environment and Children’s study;Environ Health Prev Med;
1;24(1);25;2019


 

 

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

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