スタッフブログ

2014.11.28更新

「上の子が手足口病にかかりましたが、妊娠中の私は大丈夫ですか?」
というご質問を受けました。
上のお子さんのことも心配ですが、お腹の子のことも当然心配だと思います。
ご質問にお答えしたいと思います。

手足口病とは?
6月から9月に多い、いわゆる夏かぜの一つですが、年を越える流行もあります。



国立感染症研究所のデータによると、2011,2013年は大流行しましたが、今年は例年程度の流行のようです。ここ最近の感染数も多くはありませんが、0ではないようです。








主な原因ウィルスは、コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71、稀にコクサッキーウイルスA10であり、複数のウィルスが関与しています。
ちなみに、このコクサッキーウイルスA群の感染による疾患でヘルパンギーナという病気があります。


発症年齢ですが、6ヶ月から5歳以下に多く(ほとんどが2歳以下)、大人は少ないです。


症状は?
その名の通り、手・足・口に症状がでます。

①皮疹がでます。
手背、手掌、足背、足底に1〜10mm大の紅色の丘疹(ぶつぶつ)や水疱、膿疹が特徴的です。


Mayo Clinicのサイトに写真があります。
http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hand-foot-and-mouth-disease/multimedia/hand-foot-and-mouth-disease-on-the-hand/img-20006147
http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/hand-foot-and-mouth-disease/multimedia/hand-foot-and-mouth-disease-on-the-foot/img-20006637

②口内炎ができます。
ほほの内側の粘膜や舌にできます。
痛くて食事を摂るのが難しいこともあります。

③発熱することがあります。
約3割の方に38度以下ですが、発熱を認めます。

④合併症
その他、髄膜炎や脳炎、あるいは心原性ショックなど重篤な合併症を引き起こす場合があります。


妊娠中の方が、感染した場合どうなりますか?
報告例が非常に少ないです。
これは、大人が手足口病に感染することが少ないので、報告するほどの重篤な状態になった方が少ないからではないかと推測されます。

その数少ない報告によると、子宮内胎児死亡や流産の報告例が数例のみあります。
胎児奇形の報告はありません。

また、妊婦さんが手足口病による髄膜炎を起こしたのではないかという報告例が一例ありました。

治療方法は?
治療薬や予防薬はありません。
補液などの対処療法のみとなります。


まとめると
妊娠中に手足口病を感染することは、多くなさそうであります。
もし感染した場合は、対処療法を行い、慎重に経過観察を行うことで対応できるのではないかと思われます。

副院長 今野 秀洋

(参考文献)
1. Ogilvie MM, et, al.; Spontaneous abortion after hand-foot-and-mouth disease caused  by Coxsackie virus A16.;Br Med J. ;6;281:1527-81980
2. Archibald E, et al.; Coxsackievirus type A16 infection in a neonate. Arch Dis Child. ;
    54:649;1979
3. Chow KC, et al. ;Congenital enterovirus 71 infection: a case study with virology and 
   immunohistochemistry.; Clin Infect Dis. ;31:509-12;2000
4. Zhu FC, et al.;Retrospective study of the incidence of HFMD and seroepidemiology of
  antibodies against EV71 and CoxA16 in prenatal women and their infants.;PLoS One. ; 
  7(5):e37206;2012
5.佐藤絢子ら;妊娠中に無菌性髄膜炎を発症した一例;仙台市立病院医誌;33;21-24;2013
6. 塩見正司;手足口病の疫学, 診断, 治療そして感染対策;INFECTION CONTROL ;22 ;11:
   85-89; 2013

投稿者: 佐野産婦人科医院

2014.11.12更新

そろそろインフルエンザが流行する季節となってきました。
当院では、妊婦さんに10月よりインフルエンザワクチン接種を開始しております。

ではなぜ、妊娠中の方に、インフルエンザワクチンを勧めるのでしょうか?
これにはいくつかの理由があります。

(お母さんにとってのメリット)

過去の調査では、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化しやすいことがわかりました。
心肺機能が悪化し、入院する相対的リスクは、産後の方と比較して、多いと4.67倍高くなります。



表に示すように、出産に近づくにつれて相対的リスクは上がります。
これは、出産の準備として循環血液量が増加するため(妊娠末期で、妊娠していない時から約45%くらい増量します)、もともと心臓や肺に負担がかかった状態となり、それにインフルエンザ感染がさらなる負担になるかではないかと考えられます。

また、340人の妊婦を調査した別の調査では、インフルエンザワクチンを接種することにより、呼吸障害が36%も減少することがわかりました。


(赤ちゃんにとってのメリット)

生後6ヶ月未満の赤ちゃんにはインフルエンザワクチンを接種することができません。赤ちゃんが感染することを防ぐには、まずお母さんがかからないようにすることが大事です(これは一緒に住む家族も同じだと思います。)。

また、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、お母さんの体に抗体が産生されますが、それが胎盤を通過して、胎児に移行することがわかっております。
つまり、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、生まれた赤ちゃんはインフルエンザにかかりにくくなると言えます。生後6ヶ月までに63%の感染を減らせるとのデータがあります。




別の調査でも赤ちゃんの血液中には、おおよそ移行抗体は半年くらいは存在することがわかっています。


以上より、特にワクチンに対するアレルギーがない妊娠中の方にはインフルエンザワクチンの接種をお勧めします。日本だけではなく、アメリカのガイドラインでも推奨されています。


(インフルエンザワクチンの接種の時期は?)

インフルエンザワクチンによる、妊娠への影響はないと思われますので、妊娠している場合、すべての週数で接種ができます。

ワクチンの接種から抗体ができるまで約2週間くらいかかります。
約半年の効果期間はあるようなので、接種の時期はまさに「今」だと思います。

当院では妊婦さん向けに、防腐剤の入っていないワクチンを用意しております。

副院長 今野 秀洋




(参考文献)
Madhi SA, et al. ;Influenza vaccination of pregnant women and protection of their infants.;N Engl J Med. ;2014; 4;371(10):918-31. 
Zaman K,et al. ; Effectiveness of maternal influenza immunization in mothers and infants.;N Engl J Med. ;2008;9;359(15):1555-64.
3.  Neuzil KM, et al.; Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in  
     pregnant women. ;1998 Dec 1;148(11):1094-102.
4. 二井 立恵ら;妊婦におけるインフルエンザワクチンの免疫原性・安全性;小児科;   
 2012;53;4;497-503
5. 二井 立恵ら;ワクチン歴による妊婦のインフルエンザ赤血球凝集抑制抗体の保有状況と児へ
   の抗体移行に関する検討;小児科臨床;2010;63;11;2329-2336
6. 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編2014

投稿者: 佐野産婦人科医院

TEL 047-352-5705 分娩・時間外緊急専用電話 047-303-3020
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