スタッフブログ

2017.09.30更新

10月2日から妊婦さん向けにインフルエンザワクチン接種を開始します。

すべての妊婦さんに対して、日本、米国におけるガイドラインでは、インフルエンザワクチン接種を推奨しております。

それには理由があります。

お母さんにとってのメリットとは?

過去の調査では、妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化しやすいことがわかりました。
こじらせて心肺機能が悪化し、入院治療を要する、リスクが上がります。
このリスクは出産に近づくほどに高くなり、最大4.67倍まで上昇します。

出産後、生後6ヶ月未満の赤ちゃんにはインフルエンザワクチンを接種することができません。
赤ちゃんが感染することを防ぐには、まずお母さんがかからないようにすることがまず大事だと思います。そのために、お母さんに接種を勧めます。これは一緒に住むご家族も同じですね。是非ご家族の方も予防してください。


赤ちゃんにとってのメリットとは?

胎児への影響が心配だというご質問がよくありますが、現在使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるので、胎児に対する影響や問題はないです。

さらに、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、お母さんの体に抗体が産生されますが、それが胎盤を通過して、胎児に移行することがわかっております。
つまり、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、生まれた赤ちゃんはインフルエンザにかかりにくくなる、重症化を避けやすくなるであろうと考えられます。
実際のところ生後6ヶ月までに63%のインフルエンザ感染を減らせたとのデータがあります。

インフルベビー


もちろん、アレルギー等の副作用には注意しないといけません。
特にワクチン等に対するアレルギーがない妊娠中の方とその家族、それから近いうちに妊娠を希望している方には、私は接種することをお勧めしています。

当院では、妊婦さんがより安心して頂けるように防腐剤の入っていないワクチンも用意しております。

院長 今野 秀洋

(参考文献)
1. Madhi SA, et al. ;Influenza vaccination of pregnant women and protection of their infants.;N Engl J Med. ;2014; 4;371(10):918-31.
2. Zaman K,et al. ; Effectiveness of maternal influenza immunization in mothers and infants.;N Engl J Med. ;2008;9;359(15):1555-64.
3. Neuzil KM, et al.; Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in
pregnant women. ;1998 Dec 1;148(11):1094-102.
4. 二井 立恵ら;妊婦におけるインフルエンザワクチンの免疫原性・安全性;小児科;   
 2012;53;4;497-503
5. 二井 立恵ら;ワクチン歴による妊婦のインフルエンザ赤血球凝集抑制抗体の保有状況と児へ
の抗体移行に関する検討;小児科臨床;2010;63;11;2329-2336
6. 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー産科編2014

(2016のブログを一部修正して掲載しています。)

投稿者: 佐野産婦人科医院

2017.09.27更新

妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorder of pregnancy:HDP)という言葉をご存知でしょうか?

妊娠高血圧症候群とは、かつて妊娠中毒症と呼ばれていたもので、「妊娠20週以降,分娩12週までの間に高血圧が反復してみられる場合,またはこのような高血圧に蛋白尿や全身の臓器障害を伴う場合のいずれかで,かつ,これらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によらないもの」です。
(さらに,高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,加重型妊娠高血圧腎症を発症していない場合を高血圧合併妊娠(chronic hypertension)としてHDPに加える、ことになりました。)


もし妊娠期間中に、妊妊娠高血圧症候群となってしまった場合、お母さんと赤ちゃんの状態を悪くする病気を合併する場合があります。    

例えば、子癇、脳出血、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、肺水腫など。つまり、とても危ない状況になる可能性が高くなります。

 

そして妊娠高血圧症候群は、実は今回の妊娠だけの問題ではありません。
以下の3つの問題があります。

①妊娠高血圧症候群となった方のうち、22%は高血圧に移行します。

また、その他の生活習慣病との関連指摘した報告もあります。

40歳以上の日本人女性101人を、母子手帳でかつて妊娠高血圧症候群があったことを確認し、そして現在、生活習慣病を治療しているかどうか調べています。

妊娠高血圧症候群の既往の方のほうが、高血圧や高脂血症の治療を何倍も必要としていたという結果が出ました。

 

HDP 

②次回妊娠時の再発リスクがあります。

次回妊娠時の再発率は5.9%、再発リスクは8.6倍高いと言われています。

 

③次の世代への影響もあります。
45歳以上である日本人女性の経産婦10456人を対象とした研究があります。
その結果、本人だけでなく、娘にも影響が出ることがわかりました。

母親に妊娠高血圧症候群の既往があると娘の妊娠高血圧症候群の発症リスク 2.59倍 (2.20-3.05)

つまり、妊娠高血圧症候群は、妊娠中だけの問題でもありませんし、本人だけの問題でないというわけです。

また、このような報告もあります。
重症妊娠高血圧腎症やHELLP症候群(いずれも妊娠高血圧症候群の一種です)の既往がある女性の第一度近親者(親子や兄弟)において、60歳より前に、高血圧もしくは高コレステロール血症になる可能性が高い。 2.6倍(1.5-4.3)

 

まとめ
①妊娠高血圧症候群の既往がある方は、将来生活習慣病になる可能性が高いので、気をつけてください。若いうちから肥満にならないように食事に気をつけ、運動するとよいと思います。

②妊娠高血圧症候群の既往がある方は、ご自身だけでなくご家族も妊娠高血圧症候群やまた将来高血圧や高コレステロール血症になる可能性があるので、ご家族の方に、普段から生活を気をつけるようにお話をしてください。

 

院長 今野 秀洋

 

(参考文献)

1. Watanabe K, et al. ; Pregnancy-induced hypertension is associated with an increase in the prevalence of cardiovascular disease risk factors in Japanese women.
; Menopause; ;22(6):656-9; 2015
2. Kurabayashi T, et al. ; Pregnancy-induced hypertension is associated with maternal history and a risk of cardiovascular disease in later life: Japanese cross-sectional study.
Maturitas;75(3):227-31;. 2013
3. Roes EM, et al.; Severe preeclampsia is associated with a positive family history of hypertension and hypercholesterolemia.; Hypertens Pregnancy;24(3):259-71; 2005
4. 妊娠高血圧症候群の診療指針 2015
5. http://www.jsshp.jp/journal/pdf/20170810teigi_kaiteian.pdf
6. http://jsshp.umin.jp/i_9-qa_use.html

投稿者: 佐野産婦人科医院

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