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外陰部にピンポン球大のしこりができて痛いです。

時々、「外陰部にしこりができて痛いです。」と訴えて来院する方がいらっしゃいます。 その一つとしてバルトリン腺膿瘍が考えられます。 今回はバルトリン腺に伴う疾患についてお話しします。 バルトリン腺は、外陰部皮下にある腺組織であり、透明の粘液を分泌し、外陰部を潤す役目があります。 図のように、時計でいうと5時と7時方向にバルトリン腺はあります。

ということは、もしこのあたりが腫れて痛い場合はバルトリン腺疾患を疑います。

炎症などで腺の入り口が閉鎖すると、腺からの分泌液が溜まり嚢胞を形成し、バルトリン腺嚢胞を形成します。
嚢胞に感染するとバルトリン腺膿瘍となります。
起因菌は以前は性行為感染症の淋菌(http://www.sanolc.com/blog/2013/12/post-16-716739.html)やクラミジア(http://www.sanolc.com/blog/2013/12/post-15-705495.html)が多かったですが、最近はブドウ球菌や連鎖球菌や大腸菌など、比較的どこにでもいる菌が多いようです。

(症状は?)
嚢胞は、小指大から鶏卵大まで大きくなることもあります。
バルトリン腺嚢胞の場合は無痛性です。
一方、バルトリン腺膿瘍の場合は、有痛性であり、強い圧痛を伴い、歩行困難となる場合もあります。
また破裂して膿が排泄されることもあります。
発熱することもあります。

(治療方法は?) バルトリン腺嚢胞で大きくなく、痛みが無ければ、経過観察で十分だと思います。
しかしながら、バルトリン腺膿瘍となった場合は治療が必要です。
①抗生剤 軽症の場合は、抗生剤投与のみで軽快することもあります。
②穿刺・吸引 局所麻酔を行い、針穿刺し内容物を吸引します。
③切開・排膿 局所麻酔を行い、切開して膿を出します。
また、漢方薬が効果的だったという報告もあります。
ここまでは外来で対応できます。
しかしながら①から③で改善しない場合は手術となります。
④造袋(開窓)術 切開して、嚢胞壁を露出させ、穴をあけ、膿を排泄しやすくします。
⑤嚢胞摘出術 文字通り、バルトリン腺を摘出します。比較的大変な手術です。
ちなみにバルトリン腺膿瘍62例をまとめた報告によると平均年齢41.4歳(40歳から49歳が多い)出産歴がある方が多くどちらかというと左側が多く(左右差ないという報告もあります)とのことでした。
治療方法についてですが、保存的治療 8人、穿刺・吸引 44人、切開排膿 3人 、造袋術 6人 、摘出術 1人、 9割近くは、外来治療で済むということになります。
しかしながら再発例も比較的多く、ある報告では約3割が再発したとのことでした。
再発までの期間は、数ヶ月から25年と幅があります。
「外陰部にしこりができて痛いです。」という場合、特に40歳代の出産経験のある方は、バルトリン腺膿瘍の可能性があります。
ひどくなる前に受診をお勧めします。
お問い合わせ
WEB予約
047-374-3708

院長 今野 秀洋
(参考文献) 1. 原 典子ら;バルトリン腺膿瘍に排膿散及湯が有効であった3症例の検討:産婦人科漢方研究のあゆみ 31:105-108:2014 2.藤原 葉一郎ら;過去5年間におけるバルトリン腺膿瘍31例の検討(Feasibility of Noninvasive Magnetic Resonance Temperature Imaging of Fat and Water Based on Methylene Proton Spin-lattice Relaxation Time and Water Proton Resonance Frequency) :日本産婦人科感染症研究会学術講演会記録集 :22号 :8-11:2004 3.横山 正俊ら;【オフィス ギネコロジー 女性のプライマリ・ケア】 婦人科疾患 バルトリン嚢腫,外陰腫瘍性病変:臨床婦人科産科 :66:5:245-248:2012 4.高倉 賢二;【外来診療マニュアル】 婦人科・腫瘍 外陰の嚢胞: 産婦人科の実際 :59:11号:1881-1884:2010 5.安水 洸彦;【産婦人科手術療法マニュアル】 婦人科手術 良性 バルトリン腺嚢胞・膿瘍の手術:産科と婦人科:76巻:Suppl.:135-139:2009 6.山本 紳一;イラストレイテッド産婦人科小手術 婦人科小手術 バルトリン腺の手術(図説):臨床婦人科産科:60:3号:322-325:2006 7.斉藤 豪ら;バルトリン腺嚢腫の臨床像:産婦人科の実際 :53:5:801-804:2004 8. 梁 英治ら;aggressive angiomyxoma-バルトリン嚢胞など類似疾患との鑑別:産科と婦人科:6:31:671-675:2007 9.五十嵐 俊雄ら;外陰良性病変の診断と対応:産科と婦人科:76:7:854-861:2009

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