スタッフブログ

2018.04.24更新

お尻に優しい温水洗浄便座は、今や日本中のどこのトイレでみかけるようになり、多くの方々が使用されています。

 

 

温水洗浄便座 

 

 先述した細菌性腟症と温水洗浄便座の習慣的使用との関係についての研究論文があるので、今回はその内容についてお話したいと思います。


通常は腟内に常在する乳酸桿菌が、脱落した腟粘膜上皮のグリコーゲンを乳酸に変え、腟内をpH4.5以下の酸性に保つことで、雑菌の侵入や増殖を防いでいます。
「細菌性腟症」とは、なんらかの理由で正常細菌叢が乱れた状態に陥った状態をいいます。
そうするとオリモノがいつもと異なったり、においが変わったりします。

また細菌が上行して子宮内に感染すると、子宮内膜炎や卵管炎さらに上行して骨盤腹膜炎となり、発熱や腹痛を引き起こすこともあり注意が必要です。

 

 

 


荻野先生が19歳から40歳の計268人で腟内分泌物を調べた報告によると、「習慣的に温水洗浄便座の使用している方は、細菌性腟症になりやすい傾向がある」とのこと。


(1)温水洗浄便座使用と腟内の正常細菌叢の有無の関係について

温水洗浄便座fig1

 

習慣的に温水洗浄便座の使用している人のほうが、本来は腟内の雑菌の侵入や増殖を防いでいる乳酸桿菌が著しく減少あるいは消失していました。

 

 

(2)温水洗浄便座使用と腟内で見られた細菌との関係

 

温水洗浄便座fig2

 

腟内分泌物に大腸菌などの腸内細菌による汚染が認めた症例を調べたところ、92%が温水洗浄便座を習慣的に使用していました。

 

以上より、温水洗浄便座を習慣的な使用が、常在する乳酸桿菌を減少させあるいは消失させ、肛門周囲の雑菌を腟内で繁殖させている可能性があることがわかりました。

 

 

細菌性腟症の原因がこれだけではなく他にも色々ありますが、もし細菌性腟症を繰り返していて、よく考えてみたら温水洗浄便座を習慣的に使用していますというのであれば、しばらく温水洗浄便座の使用を避けてみても良いかもしれません。

 

院長 今野 秀洋

 

 

(参考文献)
1. Ogino M, et al: Habitual use of warm-water cleaning toilets is related to the aggravation of vaginal microflora.: J Obstet Gynaecol Res: 36: 5: 1071-4: 2010
2. 荻野 満春ら:習慣的温水洗浄便座使用と細菌性腟症 切迫早産・早産発症の潜在的リスク要因となる可能性:関東連合産科婦人科学会誌:52:4:799-803:2015

投稿者: 佐野産婦人科医院

2018.04.11更新

産婦人科の外来には、おりものが以前と変わったり、ニオイがするようになって受診される方が多いです。これは、細菌性腟症の可能性があります。

今回は細菌性腟症についてお話しします。

 

細菌性腟症とは

通常、腟内は乳酸桿菌(Lactobacillus spp.)が常在し、脱落した腟粘膜上皮のグリコーゲンを乳酸に変え、腟内をpH4.5以下の酸性に保つことで、雑菌の侵入や増殖を防いでいます。

後で述べる理由により、この腟内正常細菌叢が乱れた状態を「細菌性腟症」と言います。

 

細菌性腟症ではどういう症状がありますか?

おりものが以前と変わったり、悪臭を訴える方もいますが、一般的には症状に乏しく、約半数は無症状です。

しかし、場合により細菌が上行して子宮内に感染すると子宮内膜炎や卵管炎、さらに上行して骨盤腹膜炎となり、発熱や腹痛を引き起こすこともあり注意が必要です。

 

どういうことがきっかけで細菌性腟症となりますか?

乳酸桿菌が減少する理由は、抗菌薬の使用、経口避妊薬の使用、性交、ストレス、喫煙などです。これらにより乳酸桿菌が減少し、発育が抑制されていた好気性菌(Gardnerella vaginalis, Escherichia coli, Streptococcus agalactiae)や嫌気性菌(Prevotella spp., Bacteroides spp., Peptostreptococcus spp., Mobiluncus spp., Finegoldia spp., Micromonas spp., Peptoniphilus spp., Anaerococcus spp., Mycoplasma spp., Ureaplasma spp.)などが増殖します。

そして腟内のpHが上昇し、産生されたアミンにより腟上皮細胞が剥落、アミン臭(スルメや魚のような臭い)を放ちます。

 

どのよう診断しますか?

まず、おりものが変わったり、ニオイが変わったりした場合は、細菌性腟症の可能性があります。
おりものが薄くなったり(水っぽくなったとおっしゃる方もいます)、ニオイが気になり受診されケースも多いです。

おりものの変化は、以前ブログにした性器カンジダ症http://www.sanolc.com/blog/2014/12/post-55-430692.html)の可能性もあり、いずれにしろ受診をすることをお勧めします。

患者さんの訴えをもとに、腟分泌物の正常の確認や腟粘膜の炎症所見やアミン臭の有無などを評価し、さらにグラム染色標本を用いた方法により診断します。
グラム染色標本では、乳酸桿菌の減少・消失の有無や他の雑菌の有無を調べます。


治療方法は?

細菌性腟症と判断した場合、腟洗浄と抗菌薬の投与を行います。

腟洗浄により、おりもの異常や悪臭やかゆみなどを短期間ではありますが軽減することができます。

抗菌薬は、乳酸桿菌を殺菌しない種類のもので、腟錠を投与することが一般的です。
経口の抗菌薬は、全身投与になるので、効果もありますが、副作用(私の経験では味覚障害が生じた人がいました。)がたまに出ることがあるので、私は第一選択とはしていません。

また、無症状の方は必ずしも治療する必要はないとガイドラインに明記されています。


最後に

おりものの変化があったり、ニオイが気になって悩んでいる女性は少なくないと思います。
細菌性腟症の場合もありますので、一度受診されることをお勧めします。

院長 今野 秀洋

(参考文献)
1. 鈴木 美香;【産婦人科処方実践マニュアル】 (第4章)女性医学分野 細菌性腟症;産科と婦人科;83;Suppl. ;393-395;2016.03

2. 菅長 麗依;【あなたも名医!名医たちの感染症の診かた・考えかた 外来での抗菌薬処方はどうする?】 (3章)外来で診る感染症の対処法 尿道炎/腟炎/性感染症;jmed mook;41;151-157;2015.12

3. 米田 徳子ら; (第4章)女性医学分野 細菌性腟症;産科と婦人科;82;Suppl.;413-416;2015

4. 塩崎 有宏ら;腸内細菌と女性;37;6;705-710;2017

5. 日性感染症会誌ガイドライン;19;1; 2008

6. 日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドラインー婦人科編2017

7. Berek and Novak’s Gynecology 15th edition

 

 

投稿者: 佐野産婦人科医院

2018.04.04更新

以前ブログでお伝えしましたミレーナhttp://www.sanolc.com/blog/2014/05/post-36-430666.html)(妊娠を防ぐために子宮内装着する器具(いわゆる避妊リングの一つ)の価格を下げることができるようになりました。

 

ミレーナ挿入(5年間) 40000円(初診料、検査料、手技料込みです。)

ミレーナが従来の避妊リングと大きく異なる点は、システム内に黄体ホルモンの一つであるレボノルゲストレルが入って持続的に流出する点です。

 

IUS

つまり通常の避妊リングの効果に加えて、ピルの効果が期待できます。

 

 

従来の避妊リング挿入(5年間)は、30000円です。)

 

FD-1

 

 


またこのミレーナは、過多月経や月経困難症の場合、医師の診断により、保険適応で挿入する場合もあります。ちなみに3割負担の場合は、約10000円ぐらいとなります。

しばらく妊娠は考えていない方や過多月経や月経困難症でお困りの方は、ミレーナをご検討しても良いのではないかと思います。


すでに出産経験があり今のところ妊娠は考えておらず、過多月経や月経困難症でずっと困っていて、ピルの血栓症のリスクが心配な方々などが、実際ミレーナを挿入しており、お話を聞く感じでは、使用者の評価はなかなか良いです。


院長 今野 秀洋

投稿者: 佐野産婦人科医院

TEL 047-352-5705 分娩・時間外緊急専用電話 047-303-3020
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