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妊娠中の旅行について

最近、妊婦さんからの旅行についてのご質問が多いのでここでもお答えしたいと思います。はたして妊娠中の旅行は大丈夫なのか?それとも禁止するべきなのか? 以前、順天堂大学附属浦安病院で勤務していた際に調べたデータがあります。 この地域には全国で有数の巨大テーマパークがあり、他県でかかりつけの妊婦が何らかのトラブルをおこして、順天堂大学附属浦安病院や船橋中央病院にある周産期センターに緊急に受診することがあります。 4年間の統計では、妊婦さんの受診総数は129人でした。 つまり年間約30人以上の妊婦さんがなんらかのトラブルがあり緊急受診することがありました。 (妊娠週数の内訳) 12週未満 53人(41.1%) 12週~21週33人(25.6%) 22週~36週39人(30.2%) 37週以降2人(1.6%) 産褥期2人(1.6%) であり、世間では「安定期」と言われている時期の方々が6割近くを占めていました。 (受診理由) 切迫流産 54人(42%) 切迫早産 28人(22%) 多くは軽症で外来での対応のみで可能でありましたが、入院を要したのは15.5%いました。このうち分娩に至ってしまい、新生児集中治療室での管理を要したのは6人いました。当たり前ですが、テーマパークが原因ではありません。 長距離の移動による影響があるのではと私は思います。 妊娠中の旅行の危険性については様々な意見があります。 例えば航空機での旅行ということについて、アメリカでは, リスクのない妊婦の旅行は安全であるとしています。 一方では早産になる危険性が高くなる(OR:1.44, 95% CI:1.07-1.33)のではという報告もあります。 また自家用車などの狭い空間に長時間いることは、特に妊婦の場合、深部静脈血栓症発症や肺塞栓症のリスクもあります。 さらに現在、妊婦の救命救急体制の現状が社会的問題になっています。 平成22年の総務省発表によると、産科・周産期傷病者の搬送人員15,612人(転院搬送人員26,087人を除く)で分析を行っていましたが、医療機関への照会回数4回以上ものが587件 (全体の3.8%)にものぼります。 つまり母体救急では受け入れ困難な場合も時としてあるということです。 妊娠中に旅行をすることは個人の自由であり、気分転換など得られるメリットも多くあるは私も大変よくわかります。 実際旅行しても、特に何もなかった人もたくさんいると思います。 しかしながら、旅先にて子宮収縮や出血などがおきた場合、その後の移動は困難であり、現地での長期入院が必要となる場合も少なくなく、妊婦さん自身やその家族に精神的、身体的負担を強いられることとなるので、私達産婦人科医師の立場としては、単なるレジャー目的の旅行は積極的には勧めるべきではないと考えております。 また中には、旅行に行く前の時点で、切迫早産にてよくお腹の張りを感じていたり、前置胎盤などの不正出血するリスクの高い方もいます。旅行を計画立てた際は、必ずしも良い返事をしてあげられるわけではないのですが、積極的に主治医にご相談して頂けたらと思います。 副院長 今野 秀洋

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