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妊娠と子宮筋腫について

妊娠を契機に受診したところ、子宮筋腫を指摘されることがあります。あるいは不妊の相談で受診の際に指摘されることもあります。 子宮筋腫とは、子宮にできる良性の平滑筋腫です。 全女性の約1/4にみられ、また、妊娠中の方では、2.7%~10.7%ぐらいの頻度で子宮筋腫を認めます。 子宮筋腫を有する妊婦さんの多くは、問題なく経過しますが、妊娠経過中に(特に初期~中期にかけて)増大することがあり、そうするといくつかの問題を起こすことがあります。妊婦自身の症状・痛み 大きさが5cm以上に増大すると、痛みのでる頻度は増えます。急激に増大することにより、虚血性変化やそれに伴う壊死が生じる為と言われています。・血栓症 妊娠に伴い大きくなった子宮に増大した子宮筋腫によってさらに子宮の容積が増すことにより、子宮の後方を流れている血管を圧迫し、血液の流れが滞り、血管内に血栓ができることがあります。下肢静脈血栓に始まり、肺梗塞という重症な病態になる場合もあります。妊娠経過に関わる問題・流産 妊娠し、着床に至るものの、子宮筋腫が子宮ー胎盤の血流障害を引き起こし、流産する場合があります。繰り返す流産の7%くらいの原因ではないかと言われています。・早産 同様に早産となる場合があります(オッズ比1.5)。特に5cm以上の大きさだったり、胎盤付着部位に一致した部位に子宮筋腫が存在したりすると頻度は増えるようです。・子宮内胎児発育遅延 赤ちゃんが大きく育ちにくい場合があります(オッズ比1.4)。・胎位異常 通常は30週前半頃より頭が下を向いてくるものですが、いわゆる逆子などの胎位異常が発生する頻度が増えます(オッズ比2.9)。分娩に関わる問題・微弱陣痛 子宮筋腫が子宮収縮力を弱める可能性があります。・帝王切開率 前述した、胎位異常や微弱陣痛などにより、帝王切開となる頻度が増えます(オッズ比3.7)。産後に起こりうる問題・産後出血 無事に出産に至っても、子宮筋腫が子宮復古不全をおこし、出血量が多くなる傾向があります(オッズ比1.8)。先にも述べたように、子宮筋腫を有する妊婦さんすべてが以上のことを起こす訳ではないのですが、子宮筋腫を有さない方と比べて、いくらかの妊娠に伴うリスクがあると考え、我々はいつも気をつけて拝見しております。 また、妊娠希望があるが、なかなか生産に至らず、子宮筋腫が原因の一つの可能性である方がいます。 そのような方に対し、適応があれば、妊娠前に手術(子宮筋腫核出術)を行う場合があります。 現在のところ、比較的大きくお腹を切開する従来法と腹腔鏡を用いた方法があります。 術後の妊娠率は、大体5割くらいとの報告がありましたが、いずれの方法を選択しても妊娠率は変わらないようです。 この場合は切除部位がしっかりと治るのを待つ為に、術後は半年の避妊が必要がとなることと、分娩方法が帝王切開となる場合が多くなります。 参考文献1. Qidwai GI, Caughey AB, Jacoby AF. Obstetric outcomes in women with sonographically identified uterine leiomyomata. Obstet Gynecol 2006; 107:376. 2. Laughlin SK, Baird DD, Savitz DA, et al. Prevalence of uterine leiomyomas in the first trimester of pregnancy: an ultrasound-screening study. Obstet Gynecol 2009; 113:630. 3. Exacoustòs C, Rosati P. Ultrasound diagnosis of uterine myomas and complications in pregnancy. Obstet Gynecol 1993; 82:97. 4. De Carolis S, Fatigante G, Ferrazzani S, et al. Uterine myomectomy in pregnant women. Fetal Diagn Ther 2001; 16:116. 5. Klatsky PC, Tran ND, Caughey AB, Fujimoto VY. Fibroids and reproductive outcomes: a systematic literature review from conception to delivery. Am J Obstet Gynecol 2008; 198:357. 6. Lev-Toaff AS, Coleman BG, Arger PH, et al. Leiomyomas in pregnancy: sonographic study. Radiology 1987; 164:375. 7. Shavell VI, Thakur M, Sawant A, et al. Adverse obstetric outcomes associated with sonographically identified large uterine fibroids. Fertil Steril 2012; 97:107. 8. Ying Zhang and Ke Qin Hua Patients’ Age, Myoma Size, Myoma Location, and Interval Between Myomectomy and Pregnancy May Influence the Pregnancy Rateand Live Birth Rate After Myomectomy J Laparoendosc Adv Surg Tech A. 2014;24:2:95. 副院長 今野 秀洋

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