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エクオールをご存知ですか?

女性に特有な変化の一つとして、「更年期」というものがあります。 閉経に移行する際に徐々に卵巣機能が低下、つまりエストロゲン産生の低下が生じるわけですが、それに伴ういくつかの症状があり、これらの中で、日常生活に支障をきたす病態を「更年期障害」と呼んでいます。 症状は多種多様であり、また人によって程度が様々で、中には日常生活でお困りなる方もいらっしゃいます。更年期障害に対しての治療方法は? 図のように幾つかの方法があります。 一般的に更年期障害の方に対して、産婦人科では、症状にあわせて漢方療法やホルモン補充療法が提案されると思います。 ただし治療には長所と短所があります。 お薬は副作用が心配でチョット・・。という方がいます。 また、日常生活ではとても困っているわけではないが、なんとなく調子が悪いという方もいらっしゃいます。 そのような方々の選択肢の一つとして勧めているものがあります。 それがエクオール含有食品「エクエル」です。エクオールとは? 大豆イソフラボンの一つであるダイゼインを乳酸菌発酵させたものです。大豆イソフラボンって効果あるのですか? 大豆に含まれるイソフラボンには弱いながらも女性ホルモン(エストロゲン)様作用を有しております。大豆イソフラボンを摂取すれば、更年期障害が軽減すると考えられてます。 しかし調査してみると、大豆イソフラボンが更年期障害に効果があったという報告がある一方、効果がなかったという報告もありました。 これらの結果より、大豆イソフラボンって本当に効果があるのかという疑問がでました。 しかしさらなる調査により、大豆イソフラボンがある種の腸内細菌によって代謝産物が作られていることがわかりました。その一つがエクオールです。 どうやら腸内細菌で産生されるエクオールは、個人間でその産生量が異なることもわかりました。 わかりやすく言えば、エクオール産生できる腸内細菌を「持っている方」と「持っていない方」がいるようです。 そしてエクオールに限定すると、エクオール産生している方は、更年期障害が少ないことがわかりました。 つまり、大豆イソフラボンを摂取しても、効果がでる場合と、効果がでない場合があるのは、エクオール産生できる腸内細菌を持っていく方と持たない方がいて、それは更年期障害に対して効果のあるエクオールという代謝産物を産生できる人とできない人がいるからではないかと推測されます。エクオールの悪い点はありますか? 大豆からできているということ、一日あたり納豆一パック(あるいは豆腐では2/3丁)分のエクオールであるということからできているということを考えると、心配はいらないと思います。 毎日、納豆一パック分の大豆をとることを続けることは、通常の生活ではなかなか難しいと思います。 実際ここ最近の調査では、日本人の豆類の摂取量も減っています。 また、腸内細菌を「持たない方」はいくら納豆を食べてもエクオールを作ることは難しいです。 よくある質問として、エストロゲン様作用があるということは、乳がんになりやすいのではとの質問があります。 これに関しては、乳癌診療ガイドライン(2013)に、Limited-suggestiveでありますが、むしろ「大豆食品、イソフラボンの摂取が乳癌発症リスクを減少させる可能性がある。」と表記されています。エクオールに期待する効果①更年期障害に対して 前述したように、更年期症状の軽減に効果があると思われます。②骨粗しょう症の予防 また、エストロゲンが女性の骨を丈夫にしますので、閉経を境に骨密度が減少していきます。 エクオールを投与することで、骨粗しょう症が減る可能性があります。②お肌にもよい 更に、エストロゲンとお肌のシワにも関係があります。やはり閉経を境にシワが増えてくるのですが、エクオールを投与することで、シワが減ってきたというデータがあります。 とあるデータでは、エクオールを摂取して、3カ月後に全体的な症状改善を実感したのは60%であり、70%の人が継続して摂取することを希望しているようです。 当院でも、それなりの年齢のスタッフが多いのですが、実際飲んでいる方がいます。よくわからないが、なんとなく調子が良いと申してました。あるスタッフは、エクオールが無くなったので飲むのを止めたところ、「なんか調子悪いなあ」と感じて、内服再開したと言っておりました。 最後に 40代前半から50歳にかけて、なんとなく体の調子がよくない方や、薬は苦手だけどサプリメントであれば抵抗は少ない方やいつまでも元気でいたいという方に、効用面や副作用の心配があまりいらない面から、エクオールを第一選択としてもよいのではないかと思います。 この度、当院でもエクオールを処方することができるようにしましたので、ご興味のある方は、ご相談してください。 院長 今野 秀洋(参考文献) (1) 日本女性医学学会編 女性医学ガイドブック 更年期医療編 2014年度版 (2) 野崎雅裕:更年期女性に対するエクオールサプリメント;更年期と加齢のヘルスケア, 12(1), 128-132, 2013 (3) 内山成人ら:日本人女性における大豆イソフラボンおよびエクオールと更年期症状の関係に関する調査研究:日本更年期医学会雑誌 15: 28-37, 2012 (4) 落合信彦ら:更年期前後における皮膚状態の変化とHRTの効果について;日本更年期医学会雑誌 8(1): 33-40, 2000 (5) A Oyama. et al.: The effects of natural S-equol supplementation on skin aging in postmenopausal women: a pilot randomized placebo-controlled trial : Menopause 19: 202-210, 2012 (6) K. Takamatsu et al.: 更年期女性566名を対象としたエクオール含有大豆胚芽発酵食品の3カ月摂取による使用感調査:Menopause & Women’s Health Jpn. 20: 106, 2012 (7) Jacobs A et al. : Efficacy of isoflavones in relieving vasomotor menopausal symptoms -A systematic review; Mol. Nutr. Food. Res 53: 1084-1097, 2009 (8) 厚労省 平成 23 年国民健康・栄養調査報告 (9)日本乳癌学会 科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 1. 治療編2013年版(第2版)

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