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絨毛膜下血腫について
妊娠は判明したけど不正性器出血がありますが大丈夫でしょうか?こういうケースは、少なくないです。今回は、絨毛膜下血腫についてお話ししたいと思います。
絨毛膜下血腫とは?
絨毛膜下血腫は、妊娠初期や中期にみられる胎嚢の周りにみられる血液が溜まった部分のことを言います。
不正性器出血で気づき、超音波検査で診断がつきます。
報告によりますが、全妊娠の0.5%から22%ぐらいの頻度であるようです。
多くの場合が、安静などの自然経過で改善します。
しかしながら、中には流産や子宮内胎児死亡に至るケースもあります。
絨毛膜下血腫を発症した方1735人と対照群70703人を比較検討した研究があります。
この研究によると絨毛膜下血腫を発症した方は、 約2倍の流産発症リスクや子宮内胎児死亡リスクがあります(流産:OR2.18, 95%CI 1.29-3.68、子宮内胎児死亡:OR2.09,95%CI 1.20-3.67)。
また、妊娠初期だけではなく、その後の妊娠経過にも影響を与える場合もあります。
常位胎盤早期剥離:OR5.71, 95%CI 3.91-8.33(常位胎盤早期剥離については、国立成育医療センターのパンフをお勧めします。https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/bunben/img/guide_15.pdf)早産:OR1.40, 95%CI 1.18-1.68早産期の破水:OR1.64, 95%CI 1.22-2.21
もちろん絨毛膜下血腫を気にしすぎることはないのですが、妊娠初期に絨毛膜下血腫を指摘されたり、比較的長期に渡る不正性器出血がある場合は、少し注意が必要ではないかと思われます。ご心配なことやご不明なことは、ぜひ主治医に相談してください。
お問い合わせ
院長 今野 秀洋
(参考文献)Tuuli MG,et al.; Perinatal outcomes in women with subchorionic hematoma: a systematic review and meta-analysis. : Obstet Gynecol ;117(5):1205;. 2011