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院長ブログ
妊産婦さんにおける新型コロナウィルス(COVID-19)感染症について(2020.3.1現在)
COVID-19感染症が流行しているようです。おなかに赤ちゃんがいる方はとても心配な気持ちでおられると思います。
現在、妊産婦におけるCOVID-19の報告はほとんどなく情報が少ないのですが、妊婦中の方は、妊娠していない方と比較して、一般的に感染症は重症化しやすいと考えられております。
中国から妊娠後期にCOVID-19に感染した報告がありましたのでご紹介します。
年齢は26~40歳、妊娠36週から39週の9名の報告です。
いずれも糖尿病や慢性高血圧や心臓血管系などの疾患を持つ方はいませんでした(妊婦さんでは基礎疾患がある方が感染するとは言えないようです。)。しかし、一人だけ妊娠高血圧症候群を発症していた方がいました。
症状は、以下のようです。
入院時発熱 7名分娩後発熱 6名呼吸困難 1名気分不快 2名悪寒戦慄 0名
上気道感染症状咳 4名咽頭痛 2名筋肉痛 3名
下痢 1名
発熱の方が多いのですが、39℃以上の方はいませんでした。
幸い、重症肺炎になった方はいませんでした(2020年2月4日の時点)。
そして発症後1-7日後に分娩となっています。
赤ちゃんの方も重症胎児仮死や胎児死亡及び新生児死亡したケースはありませんでした。
9名と少ない症例報告なので断定はできませんが、母子ともに重症化していないことは嬉しい情報でした。
しかしながら、先ほどお話ししたように、妊婦中の方は、妊娠していない方と比較して、一般的に感染症は重症化しやすいと考えられており、やはりいつも以上に注意は必要だと思います。
対策として、妊産婦さんは、手洗いを徹底し、不要な外出を控えるようにしましょう。また、軽症でもCOVID-19感染症の疑われるような場合は、妊婦健診日を少しずらしても問題ないと思いますので、主治医に電話でご相談して下さい。
WHOが推奨するCOVID-19感染症の予防投与法https://twitter.com/WHO/status/1218269428166602753/photo/1
猶、最新のCOVID-19感染症の情報は、日本産婦人科感染症学会のホームページで頻回にアップデートされております(http://jsidog.kenkyuukai.jp/information/)。是非ご覧になって下さい。
院長 今野 秀洋
(参考文献)1. Huijun Cheney al.;Clinical characteristics and intrauterine vertical transmission potential of COVID-19 infection in nine pregnant women: a retrospective review of medical records;Lancet;20202. ACOG; Practice Advisory: Novel Coronavirus 2019 (COVID-19); https://www.acog.org/Clinical-Guidance-and-Publications/Practice-Advisories/Practice-Advisory-Novel-Coronavirus2019?fbclid=IwAR2jJCsNZ2JrfZfOecynuTLnuco7z5CDp8ZFrk3_v-pdR-LnuNd9cj5Jt-o