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院長ブログ
新生児を含む子どもにおける新型コロナウィルス(COVID-19))感染症について(2020.3.27現在)
現在、COVID-19について様々な情報があふれています。ご両親は自分のこともさることながら、我が子の感染に不安な日々を過ごされていると思います。
全年齢での72314例の報告によると10歳以下の患者数は1%以下と少ないという報告がありました。
最近、COVID-19の子どもの感染に絞ったテーマの報告がいくつかでてきました。
(1)新生児についての報告
中国の武漢にあるWuhan Children’s HospitalからCOVID-19に感染した母親から生まれた33名の報告がありました。
33人のうち3人(9%)の生まれたての赤ちゃんにCOVID-19感染を認めました。
全例帝王切開術で生まれ、そのうち1名は早産でした。全員生存しております。
①40週の時点で、母親がCOVID-19感染による肺炎と羊水混濁を認め、帝王切開手術となりました。児は生後2日目に傾眠傾向と発熱を認め、NICUに入りました。レントゲン検査では肺炎と診断されました。生後2日目の時点でCOVID-19陽性と判断されましたが、生後6日目には陰性となっておりました。
②40週4日の時点で、母親がCOVID-19感染による肺炎を認め、帝王切開手術となりました。児は、傾眠傾向、嘔吐、発熱を認めました。レントゲン検査では肺炎と診断されました。生後2日目の時点でCOVID-19陽性と判断されましたが、生後6日目には陰性となっておりました。
③30週2日の時点で、母親がCOVID-19感染による肺炎と胎児仮死にて帝王切開手術となりました。児は、肺炎、敗血症,凝固異常を認め、人工呼吸器などの治療を要した。生後2日目の時点でCOVID-19陽性と判断されましたが、生後7日目には陰性となっておりました。
生後間もない児の感染のため、妊娠中の母から子へのいわゆる「垂直感染」が起きた可能性もあるとのことでした。
(2)1391人の子どものCOVID-19感染症の報告
主な症状
(③の文献を参照しました。)
9割近くが、家族でのクラスター感染のようです。
別の論文によると、子どもの症状は、多くは軽度から中等度です。しかしながら、1歳未満は割合で言うと、重症と致命的の頻度が他と比べてやや多いので注意が必要です。
(④の文献を参照しました。)
まとめると
子どもの感染率は高くなさそうであり、多くは軽症から中等度の症状である。9割近くが、家族内感染が考えられる。
しかしながら、1歳未満は、比較的重症化しやすく、また、妊娠中の母から子へのいわゆる「垂直感染」が起こる可能性が否定できない。
妊娠中の方、出産されたお母さん、お父さんや家族は、子どものためにもCOVID-19感染の予防に心がけることが大事だと思います。
院長 今野 秀洋
(参考文献)①Wu Z , et al.; Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China: Summary of a Report of 72 314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention.; JAMA(2020 Feb 24)②Zeng L et al.;Neonatal Early-Onset Infection With SARS-CoV-2 in 33 Neonates Born to Mothers With COVID-19 in Wuhan, China;JAMA Pediatrics(2020 Mar 26)③ Lu X, et al.;SARS-CoV-2 Infection in Children;New England Journal of medicine(2020 Mar 18)④Dong Y,et al.;Epidemiological Characteristics of 2143 Pediatric Patients With 2019 Coronavirus Disease in China.; (2020 Mar 16)