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新生児黄疸って何ですか?
なんか、私の赤ちゃん、黄色いですけど・・。と心配な声が時々あります。
黄疸とは、何らかの原因により、血中ビリルビンの上昇により皮膚や眼瞼結膜が黄染する状態のことです。
ビリルビンの多くは赤血球が壊れる際にヘモグロビンから出てきます。成人では、肝臓で代謝して胆道を通って、糞便中に排泄されますが、生まれたての赤ちゃんの場合、肝臓での処理が十分ではなく、また腸内に排泄しても再吸収を比して行いやすく、ある程度の黄疸は必然的に起こりやすいです(新生児生理的黄疸)。
新生児の生理的黄疸は生後1~2日から出現し、生後5~6日にピークに達して、その後自然消失します。 つまり、どんな子でも退院間際までに、黄疸が生じてもおかしくはありません。多くの子はその後自然によくなっていきますが、時々黄疸が遷延する子もいます。
我々、日本人、アジア人はビリルビン値が高くなる傾向はあるようです。
遷延黄疸の主な原因
①母乳栄養が主体
②体重増加不良
③感染症
④早産児
⑤血液型不適合
⑥頭血腫 ・ ・ ・ など、色々原因はあります。
ちなみに、母乳性黄疸は、成熟児の場合、母乳を続けていても3ヶ月以内の自然消失し、予後良好です。黄疸になると何が困るの? 稀ですが、ビリルビン毒性による神経障害をきたすことが報告されています(ビリルビン脳症(核黄疸))。
臨床症状として、筋緊張低下、嗜眠、哺乳力減弱、痙攣、難聴などです。 I、II、III期と分かれているが、II期に至ると不可逆性であり、後遺症を残す可能性があります。 赤ちゃんは、生まれてから毎日、ビリルビン値の確認をします。
図の基準値を超える場合は、光線療法の適応となり、治療を開始します。
光線療法とは、紫外線を除いた青白色光を24時間皮膚に照射する方法です。
光線がビリルビン値を下げるメカニズムは、①ビリルビンを分解すること、②ビリルビンを水に溶けやすい形に変えること、③肝臓でのビリルビン排出を促進させる、④皮膚の血流を増加させると考えられています。
なぜ、新生児生理的黄疸はあるのでしょうか?
最近はこんな考えがあります。 分娩時や新生児早期では低酸素状態に対応する過程で過酸化酸素やラジカルと呼ばれる不安定な酸素が発生し、それを除去する役割をビリルビンが担っているようです。
そうすると、ある程度の黄疸はむしろ赤ちゃんにとっては、必要な体の変化なのかもしれませんね。
院長 今野 秀洋
(参考文献) 1.黒川大輔;黄疸;周産期医学;46;1;7-9;2016 2.新生児の管理と治療;日産婦誌;60;10;N-445-447;2008 3.山内芳忠;遷延性黄疸;小児診療;4;37;557-561;2011 4.仁志田博司;黄疸の基礎と臨床;新生児学入門;301-315;2012 5.村田文也ら;新生児高ビリルビン血症の光線療法;小児外科・内科;5;301-11;19736.井村総一;新生児黄疸の治療:光線療法の適応基準と副作用防止;日本臨床;43;1741-1748;1985 7.神戸大学医学部小児科編.”高ビリルビン血症の管理”.新版 未 熟児新生児の管理;日本小児医事出版社;225-240;2000 8.李容桂;核黄疸(ビリルビン脳症)の発祥予知と予防;母子保険情報;62;9-16;2010