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院長ブログ
妊娠中のオウム病について
先日、妊娠されていた方がオウム病にて死亡したニュースが取り上げられていました。(http://www.sankei.com/life/news/170409/lif1704090032-n1.html)
これに対して、厚生労働省健康局結核感染症課から連絡もありました。(http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20170329_kourousho.pdf)
亡くなった方に対して、深く哀悼の意を表します。
オウム病とは何でしょうか?
オウム病は感染症の一つであり、原因菌であるオウム病クラミジア(Chlamydophilia psittaci)は鳥類とヤギや羊などの哺乳動物を宿主としています。
感染した排泄物を含む塵埃を吸引することで経気道的に人へ感染し、肺炎などの急性気道疾患を起こします。
その名の通りオウム・インコからの感染が多いようですが、農場夫の感染も報告としてあります。
文献によると、オウム病の感染患者報告数は決して多くはないようです。
また、春が比較的感染数が多いようです。
妊娠中にオウム病にかかった場合は、どうなりますか?
報告数は多くはないです。
妊娠初期に感染した場合は、流産します。
妊娠22週から36週でオウム病に感染した8例をまとめた報告がありました。
(症状)発熱 8人/8人頭痛 8人/8人腹痛 5人/8人嘔気・嘔吐 4人/8人胸痛 2人/8人
論文中では、インフルエンザに似たような症状とも表現されていました。
(合併症)血小板減少 7人/7人 (不明1人)肝機能障害 6人/8人急性呼吸不全 6人/8人心機能障害 5人/8人DIC 4人/8人腎機能障害 4人/8人
妊婦さんと赤ちゃんはどうなりますか?
先に書いたように、命に関わるような重篤な合併が多いです。また、子宮内胎児死亡や陣痛が急速に始まります。
妊婦生存 7人/8人児生存 2人/8人
まとめると妊娠中にオウム病にかかることはあまりありませんが、かかった場合は重篤な状況に陥いると思われます。
妊娠中は、オウムなどの鳥類だけではなく、ヤギや羊などと接触することはなるべく避けるべきだと思います。
院長 今野 秀洋
(参考文献)1. 岸本寿男:【人獣共通感染症の動向と対策】 リケッチア、クラミジア オウム病オウム病:臨床と微生物:42:1:57-61:20152. Janssen MJ,et al. :Sepsis due to gestational psittacosis: A multidisciplinary approach within a perinatological center–review of reported cases.: Int J Fertil Womens Med. :51(1):17-20:20063. Hyde SR,et al. : Gestational psittacosis: case report and literature review.Mod Pathol. :10(6):602-7:1997