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院長ブログ
妊娠24週で家庭血圧測定129/78以上あれば、すでに高血圧。
妊娠経過中に高血圧を発症することがあります。この状態を「妊娠高血圧症候群(HDP)」と言います。HDPの頻度は約20人に1人です。HDPは重症になるとさらなる血圧上昇、脳出血、痙攣発作、肝臓障害、腎臓障害となり、また赤ちゃんは発育遅延や状態が悪くなる(胎児機能不全)などが引き起こされることがあります。
この診断には、診察室での血圧が用いられています。
血圧は日内変動があります。また、白衣高血圧(診察室で血圧が上がること)もあります。特に妊婦さんは白衣高血圧が多いです。そのため、外来で血圧が高めであった場合は、まず家庭血圧測定を勧められます。
妊娠していない方の家庭での測定では、「収縮期血圧が135mmHg以上、かつ/または拡張期血圧が85mmHg以上」が基準です。しかしながら、妊娠中の方のはっきりした基準はありません。
そこで、妊娠中の方々の血圧を調べた日本の研究があり、その結果が報告されました。
表・グラフでの収縮期血圧は、+3.0SD(99.7%の人が当てはまる)、拡張期血圧は、+2.0SD(95%の人が当てはまる)を基準としています。これが、妊娠していない方の基準相当となるようです。
この研究からわかったことは、
- 妊婦さんの血圧の基準は、「135/85」ではないかもしれませんということ。
例えば、妊娠24週の方が、家庭血圧測定で129/78以上あれば、今までは大丈夫だねと言われていたかと思いますが、この基準では実はすでに血圧高い人となります。
- 妊娠中期は一度少し血圧が下がるが、妊娠24週から段々と高くなってくることです。
家庭血圧測定を指示された方は、ご自身の健康観察のため、しっかりと血圧測定をしてください。
院長 今野 秀洋
(参考文献)
- Suzuki Y, et al.; A multicenter prospective study of home blood pressure measurement (HBPM) during pregnancy in Japanese women.; Hypertens Res; 45(10):1563-1574;2022
- 日本妊娠高血圧学会;
https://www.jsshp.jp/prize/?fbclid=IwAR3NOTSaE3ZX4qUdI8lI2WuebUe8ErDDvfj7Qm5TeiDiJ9rUkCgkH_aes60