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院長ブログ
「ハーブティー飲んでいますが、大丈夫ですか?」 〜妊娠中のポリフェノール摂取は注意が必要です〜
時々外来で質問されます。
適度な量では問題はないかもしれませんが、何杯も飲む、習慣化は避けた方がよさそうです。
「ポリフェノール」が問題となるようです。
ポリフェノールとは?
ほぼすべての植物に存在する苦味や色素の成分だそうです。
アントシアニン:赤ワイン、ブドウ、ブルーベリー
フラボノール:トマト
カテキン:緑茶、紅茶
カカオポリフェノール:ココア、チョコレート
ルチン:そば、柑橘類
イソフラボン:豆類
コーヒーポリフェノール:コーヒー など。
ポリフェノールは、抗炎症作用および抗酸化作用を持ち、脂質代謝異常や高血圧症の改善、さらには悪性腫瘍や認知症の予防をしたという報告があるようです。そのため、ポリフェノール含有食品の摂取が勧められています。
(ポリフェノール含有量 100gあたり)
コーヒー 200mg
緑茶 115mg
紅茶 96mg
トマト・野菜ジュース 69mg
ココア 62mg
ごぼう 49mg
ほうれん草 42mg
ウーロン茶 39mg
豆乳 36mg
しかしながら、ポリフェノール、特にアントシアニンの過剰摂取が胎児の動脈管(胎児循環において主肺動脈と大動脈を結ぶ血管)閉鎖をきたしたという報告が複数あります。
もし胎児期に動脈管閉鎖すると、心不全を引き起こし、その後胎児死亡を引き起こす可能性があります。
これらの報告を検討すると、以下の点に注意が必要ではないかと思われます。
- ポリフェノールを多く含む食品の過剰な摂取量している場合
- 習慣化したポリフェノールの摂取をした場合
- 濃縮したものの製品を摂取していた場合
- 妊娠後期
また、ポリフェノール含有食品の摂取を中止すると、胎児の状態は改善しているようです。
まとめると
ポリフェノールは体にいいと言われています。しかしながら、妊娠中(特に妊娠後期)は、適度な量では問題はないかもしれませんが、過度に摂取するとか習慣化することは避けた方がよさそうです。
院長 今野 秀洋
(参考文献)
- 池ノ上 学ら; 【妊婦の栄養-今、妊婦は赤ちゃんのために正しい食事をしているのか】健康食品の注意点 妊婦とポリフェノール アントシアニンの胎児動脈管に対する影響; 46;12;周産期医学;1511-1513;2016
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- 小暮 さやから;胎児動脈管早期収縮と診断した5例とポリフェノール高含有食品摂取歴の検討;52;1;205-209;日本周産期新生児医学会;2016
- 加賀 元宗ら;妊娠中にポリフェノール高含有飲料(ノンカフェインコーヒーや緑茶)を摂取していた母より出生した胎児動脈管早期収縮の2例;54;3;891-897;日本周産期新生児医学会;2018
- 宮副 美奈子ら;ルイボスティー摂取により胎児動脈管早期収縮をきたしたが、中止後改善し生児を得た1例;50;7;1143-1146;周産期医学;2020
- P Zielinsky et al;Maternal consumption of polyphenol-rich foods in late pregnancy and fetal ductus arteriosus flow dynamics; 30;17–21;J Perinatol;2010
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