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院長ブログ
定期的な検診により、卵巣がんを早期発見できる可能性があるというお話です
本邦では卵巣がんに罹患する女性が、年間約13000人おり、その死亡は年間約5200人です。30代ぐらいから罹患者数が増えていきます。
卵巣がんの死亡率は、婦人科がんの中でもっとも高いと言われています。これは、卵巣がんの検診システムが確立されておらず、早期がんは通常無症状であり、早期発見や早期治療が難しいことが原因です。
UKより定期的な検診を行うことにより、卵巣がんを早期発見できる可能性を示唆する研究が発表されました。
イングランドの13の施設で50歳から74歳の総計202562人の女性を対象に研究しております。検診を行ったグループと検診を行わなかったグループとで比較しております。
今回以下の3つのグループに分けました。
①検診を行わない
②経腟超音波検査+採血(腫瘍マーカーの一つであるCA-125)で検診する
③経腟超音波検査で検診する
グラフ(1)によると、年数が経つに連れて、①>③>②の順にhigh gradeのがんに罹患していることがわかります(high gradeのがんとは、がんの異型度(グレード)が高く、悪性度が高いことを示します。)
また、グラフ(2)によると卵巣がんを発見し治療後の生存率も②>①となっております。
つまり、卵巣がんも定期的な検診を行うことにより、早期発見できそして早期治療を行うことができて、生存率がよくなる可能性を示唆しています。
私は、定期的な婦人科受診をお勧めします。
院長 今野 秀洋
(参考文献)
1.Tumour stage, treatment, and survival of women with high-grade serous tubo-ovarian cancer in UKCTOCS: an exploratory analysis of a randomised controlled trial;Lancet Oncol;24(9):1018-1028;2023
2. がん情報サービス;https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/19_ovary.html#anchor1