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妊娠中に病院で血圧測定すると高くなりますが、問題ありますか?
妊娠中は健診の際に必ず毎回血圧測定を行います。
そのときの数値がいくらか高い場合、毎日自宅での血圧測定を勧めます。
自宅でも高血圧の場合は、高血圧合併妊娠あるいは妊娠高血圧症候群として対応します。
一方、外来時の血圧が高くても、自宅での血圧が正常値の方がおります。こういう状態を「白衣高血圧」と言います。
(基準は外来血圧140/90mmHg以上で、家庭での血圧が135/85mmHg未満です)
妊娠中のその頻度は、4%から30%と言われております。
自宅で正常血圧であれば、問題ないのでは?と聞かれました。
この質問に対する答えのUKからの研究報告があります。
「白衣高血圧」と診断受けたグループは正常血圧のグループに比べて、妊娠高血圧腎症への移行が2.36倍(95%CI 1.21-4.78,P=0.017)高く、週数にして小さく産まれるが2.47倍(95%CI 1.16-5.05,P=0.013)高く、早産が2.86倍(95%CI 1.44-5.68,P=0.002)高かったです。
また、特に妊娠20週以前に「白衣高血圧」を指摘された方は、妊娠20週以降に指摘された方に比べて、妊娠高血圧腎症への移行が5.43倍(95%CI 2.00-14.71)高いことがわかりました。
つまり、外来血圧が高い方は、自宅での血圧が正常値であるとしても、注意が必要であると思われます。
院長 今野秀洋
(参考文献)
Johnson S, et al. ;Maternal and Perinatal Outcomes of White Coat Hypertension During Pregnancy: A Systematic Review and Meta-Analysis.;Hypertension;76(1):157-166.;2020