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子宮体がん検査として、経腟超音波検査も有用である
子宮体がん検査は、子宮頸がん検査のように視診を行いながら細胞を採取することはできないので、子宮口より検査プローべを挿入して、擦過法もしくは吸引法にて子宮内膜の細胞を採取を行います。
こういった検査の特性上、単回の子宮内膜細胞診では11.2%の子宮体がんを捉えることができなかったとする報告もあります。
また、このような検査方法であるため、①痛み、②神経反射により一時的な血圧低下、③不正性器出血、④感染などを生じることがあります。
そのため不必要な検査は避けたいと考えます。
閉経後の女性に対して、超音波検査が有用であったという報告があります。
10万人の閉経後の女性で調査しております。
不正性器出血のない閉経後の女性の場合、経腟超音波検査で子宮内膜の厚みを測り、これが11mm以上の場合、6.7%の方に子宮体がんを認め、一方子宮内膜厚が11mm未満の場合は、0.002%に子宮体がんを認めました。
そして、不正性器出血を伴う閉経後の女性の場合は、子宮内膜厚5mm以上の方の7.3%に子宮体がんを認め、5mm以下の場合は、子宮体がんが0.07%以下であることがわかりました。
この方法単体で診断できるわけではありません。
しかしながら、この方法を併用することで、侵襲的な検査を減らすことが出来る可能性があります。
また経腟超音波検査では、その他子宮筋腫、卵巣腫瘍なども評価することが出来ますので、少なくとも年一回検査することで、受診者の安心さが増すのではないでしょうか?
院長 今野 秀洋
(参考文献)
1.産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023
2.小笹勝巳ら;子宮内膜細胞診後にA群溶連菌による敗血症性ショックを来した2例;天理医学紀要;17(1);34-38;2014
3.佐藤賢一郞ら;子宮内膜細胞診後に発症し、侵襲性A群β溶血性連鎖球菌感染症を併発した骨盤内炎症疾患の1例;産科と婦人科;3(107);389-394;2019
4.Smith-Bindman R et,ai;How thick is too thick? When endometrial thickness should prompt biopsy in postmenopausal women without vaginal bleeding.;Ultrasound Obstet Gynecol;24(5);558-565;2004